大腸がんの基本ガイド

~よくわかる大腸がんの基礎知識~

このサイトについて

このサイトは、難しいイメージのある大腸がんについて、その症状や生存率、治療方法などを、なるべくわかりやすく解説することを目的に作ったものです。細心の注意を払って正確性を期していますが、個人でまとめたものですので、誤りがあるかもしれません。ご了承ください。

大腸がんとは

大腸がんとは、文字通り大腸(盲腸・結腸・直腸の総称)にできるがんのことです。性別では、男性より女性。年代では、50代以上の患者さんが多い傾向があります。

原因としては、現代的な高カロリー食や、デスクワーク、高齢化などの影響が大きいとされ、先進国を中心に死亡率の高いがんとして知られています。

早いうちに発見できれば高い確率で完治が見込めるのですが、怖いことに大腸がんには自覚できる症状がほとんどありません。

定期的に大腸検査を受けるか、便が細くなったり、血便が出たり、便に異常が出た場合に診断を受けるなど、とにかく先回りして行動を起こすことが大切とされています。

大腸のイラスト

大腸がん治療の種類について

大腸がんの治療は、おもに以下の3種類に分けられます。

切除する治療法
(開腹手術・内視鏡手術)

大腸がん治療の基本です。外科手術によってがん・腫瘍を直接的に体内から取り去るので、高い治療の効果が見込めます。

がんを小さくする補助療法
(科学治療・放射線治療)

外科手術ができない場合、抗がん剤を投与する化学療法か、放射線を用いてがん細胞の増殖を抑える放射線療法が行われます。

代替療法・補助療法
(免疫力向上)

投薬や化学療法の副作用を和らげる目的や、進行してしまい手術が難しい場合の対処、回復期の健康を取り戻す手段の一つとして用いられます。

大腸がんの治療は、がんを切除する治療(内視鏡治療・手術治療)と、がんを小さくする補助療法(化学治療・放射線治療)を組み合わせて行われます。基本的には、物理的にがんを切除する治療が軸となりますが、進行してしまい手術が難しい場合は、補助療法で対処するケースが多いです。

  • 内視鏡治療
    TREATMENT

    内視鏡治療の画像

    お尻から内視鏡を入れて、モニターで確認しながらがんを切除する治療法です。昔はがんの大きさによって制限されていました、2014年に治療ガイドラインが改訂されたことで、内視鏡治療を選択できるケースが増えてきています。

    切除方法には腫瘍の状態によっていくつかの方法があり、腫瘍を「スネア」という金属の輪で焼き切る「ポリペクトミー」「EMR」、電気メスを使って腫瘍をはぎ取るESDが主なものです。いずれも、入院が不要またはごく短期間で済むのがメリットです。

    大腸がんの内視鏡治療の費用は、保険適用の場合は3割負担で、検査だけなら8,000円程度、同時に腫瘍の切除を行う場合は30,000円程度です。

  • 手術治療
    TREATMENT

    手術治療の画像

    腫瘍が大きく成長している場合や、癌が大腸の壁の外まで浸透している場合などは、外科手術を行って、大腸の腫瘍部分を数センチ~数十センチほど切り取って縫合します。直腸がんの場合は、術後に人工肛門が必要になることがほとんどです。

    一般的な開腹手術では、医師が患部を直接確認するので、ほぼ確実に腫瘍を取り除けますが、患者の身体への負担が大きく、体に大きな傷が残ります。
    最近ではお腹に小さな穴を数箇所開けて手術器具を挿入する、腹腔鏡下術という選択肢も広まっています。腹腔鏡下術は医師が直接目視・触診できないため、開腹手術より高度な技術が必要とされています。

    開腹手術でも腹腔鏡下術でも、入院費と手術費用を合わせて、ほぼ100万円は掛かります。

  • 化学治療
    TREATMENT

    化学治療の画像

    科学治療とは、いわゆる抗がん剤治療です。主に「切除後のがんの再発予防」と「手術ではがんを切除できない場合」に用いられます。不快な副作用が出るケースが多く、緩和のための代替医療を平行して行うこともあります。

    再発の危険性が高いステージ2やステージ3の大腸がんでは、手術後に小さながんが残る場合に備えて、抗がん剤を投与する場合があります。
    転移・再発したがんは手術で取り除くのが難しく、また完治も見込めないため、進行を遅らせる目的で化学療法が用いられます。

    抗がん剤治療の費用は、抗がん剤の種類により大きく異なり、再発防止で治療を行う場合、1年間で40万円~150万円、進行抑制で治療を行う場合、2、3週間単位で10万円~40万円ほどが見込まれます。

  • 放射線治療
    TREATMENT

    放射線治療の画像

    直接、または身体の外から、がんのある部位に放射線を当てて、腫瘍を小さくするために行われる治療です。手術前にがんを小さくしたい場合や、手術の難しい場合などに行われます。ほかにも手術後に再発を予防する目的にも使われます。

    大腸がんは通常外科手術や内視鏡手術で患部を切除しますが、直腸がんでは手術前に放射線でがんを小さくして切除する部位を小さく抑えて、人工肛門にするリスクを最小限にすることがあります。

    放射線治療にも吐き気や下痢、体がだるいなどの副作用があり、しかも治療を受けているときだけでなく、終了して数ヶ月から数年後に出る場合もあります。

    放射線治療の費用は、保険適用のもので万円~20万程度です。しかし先進医療とされるものでは保険も効かず、300万円程度かかるものもあります。

大腸がんのステージ(病期)と治療方針の決定

大腸がんの治療法をどのように組み合わせるのかは、患者の状態や、がんの進行度(ステージ)などによって決められます。

下の表は、大腸がんのステージ(病期)と標準的な治療法選択の目安です。大腸がんと診断された場合、自分がどのステージにあって、どんな治療を受けるのかを理解する参考にしていただけます。

大腸がんのステージ(病期)と標準治療

※国立がん研究センター国立がん対策情報センター「大腸がんの療養情報」をもとに作図しています。

ステージ0・ステージ1(軽度浸潤あり)
内視鏡治療または外科手術を行い、その後経過観察を行います。
ステージ1(深部浸潤あり)・ステージ2・ステージ3
外科手術を行ったあと、病理検査・病理診断によって化学療法または放射線療法を行うか判断します。
ステージ4
化学療法や放射線療法でがん細胞の活動を抑えながら、必要に応じて対症療法を行います。

負担の少ない代替医療について

近年、身体的・精神的に負担の少ない治療方法として、代替医療が注目を集めています。

代替医療とは、西洋医学のように、厳密に確かめられていない、民間レベルで摂り入れられている治療法。一例としては、漢方や鍼灸、マッサージなどがあります。

科学的に証明されていないとはいえ、これらの治療法は経験的に効果を実感している患者さんが少なくありません。

じっさい、厚生労働省の統計では、がん患者の96.2%が、何らかの代替医療(とくに漢方・サプリメント)を摂り入れて実践しているといいます。

がん治療に効果がある健康食品としては有名なのはアガリクスですが、そのほかでも、韓国で抗がん剤として医療現場で使われているメシマコブや、様々な健康効果が認められているプロポリスなどがあります。

こういった成分は、身体やメンタルに負担なく取り入れられるのが、最大のメリットです。

効果が認められていない以上、「病院での治療がつらい(つらそう)だから代替医療だけに頼る」、というのは断じてよくありませんが、ほかの治療と並行して試してみる価値は十分にあるといえるでしょう。

進行度別に見る大腸がんの症状・生存率まとめ

ステージ0
腸の粘膜までのがん
5年生存率:約95%
ステージ1
腸の筋肉までのがん
5年生存率:約92%
ステージ2
腸の外側の膜までのがん
5年生存率:約85%
ステージ3
リンパ節に転移している
5年生存率:約68%
ステージ4
他の臓器に転移している
5年生存率:約15%

大腸がんのステージ別生存率

大腸がんは、以下のような条件で、大まかに0~4までの5つのステージに分けられます。

  • がんが大腸のどれくらいの深さまで大きくなっているか。
  • リンパ節や大腸以外の内蔵に転移していないか。

たとえば、がんが大腸に留まっている場合はステージ2以下、リンパ節に転移している場合はステージ3、肝臓や肺など、ほかの内蔵に転移している場合はステージ4、という具合です。

また、進行度のほかに注意したいこととして、がんのできる場所があげられます。

大腸は盲腸・結腸・直腸に大きく分けられますが、このうち結腸は部位が長いため、切除しても排泄などへの影響は小さいとされています。

これに対し直腸は肛門が近く、筋肉や神経も集まっているため、後遺症の可能性も考えておかなければなりません。

続いて盲腸ですが、見つかりにくい箇所であるため、発見時には転移していることが少なくありません。この場合は、難しい手術が予想されます。

どのケースでもそうですが、手術の時はしっかり担当医と話をし、納得のいく選択をすることが大切です。

大腸がんの初期症状

大腸がんは早期では自覚症状がほとんどない気付きにくいがんです。以下の症状が現れたときは、すでにがんが大腸の粘膜を越えて、腸壁の外側に広がっていることがほとんどです。

お腹の調子や排便の状態の変化
血便が出る・便に血が混じる
便が細くなる
便秘と下痢を繰り返す
排便後も残っている感じがする
お腹が張っている
お腹が痛くなる
お腹にしこりがある
その他の体調の変化
めまい・貧血が起きる
吐き気がある
嘔吐する
急激に体重が落ちた・やつれた

大腸がんに限らず、がんは発見が早ければ早いほど完全に治る可能性が高くなるので、血便に気付いたらできるだけ早く消化器科・胃腸科・肛門科などで検査を受けましょう。

大腸がんの末期症状

初期段階では自覚症状がほとんどない大腸がんですが、進行に伴って腸の一部がふさがってしまう腸閉塞が起こり、激しい腹痛・吐き気・嘔吐などの症状が見られるようになります。

大腸がんに限らず、がんは進行に伴い他臓器への転移が起こります。大腸がんで転移しやすいのは、腹膜、肝臓、肺などです。特に転移しやすいのは肝臓ですが「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓のがんも自覚症状が少なく、早期の発見は難しいです。肺に転移した場合は、咳や痰、血痰などの症状が見られます。

大腸がんの症状は気付きにくいため、大腸にできたがんが胃や肝臓、肺、骨などに転移して、そこで初めて痛みや症状を感じて発見される…ということもしばしば起こります。そのため「気付いたときにはすでに末期」ということが少なくないので、年に一度の定期健診を受けて、早期発見早期治療に務めるべきです。

がんができた場所による症状の違い

大腸がんは一般的に、肛門に近い位置に出来るほど異常に気付きやすいとされています。

直腸にがんができた場合
血便:比較的分かりやすい赤い血が見える
便通:便が細い・残便感がある。下痢と便秘を繰り返す
結腸の肛門に近いほう(左半分)
血便:赤黒い血便・年血便が出る
便通:便が出にくい・腹痛がするなど異常が自覚できる
結腸の肛門から遠いほう(右半分)
血便:肉眼でわかりにくい・見つからない
便通:自覚できる異常がほとんどない

大腸がん危険度セルフチェックリスト

生活習慣を見直すことで、大腸がんのリスクは減らすことができます。チェックリストを参考に、1つでもあてはまる項目があったら改善を心がけましょう。特に3つ以上当てはまる人は注意が必要です。

  • 肉やソーセージ・ハム・ベーコンなどの加工肉をよく食べる
  • 野菜や果物はあまり食べない
  • お酒をよく飲む(ビールなら大瓶1本以上、日本酒なら1合以上)
  • 肥満気味である(男性はBMI27以上、女性はBMI25以上)
  • 運動をあまりしない(毎日合計60分以上歩いていないくらい)
  • タバコを吸う(1日に1本でも)
  • 40歳以上で、大腸がん検診を定期的に受けていない