~よくわかる大腸がんの基礎知識~

大腸がんのステージと治療を知る
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大腸がんに抗がん剤が効かない場合がある

大腸がんやその他のがんに対する抗がん剤の目的や症状の種類をまとめています。抗がん剤の目的別の意図などを記載していますので、参考にしてみてください。

引用元:JCOG運営委員会 固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(PDF)

抗がん剤が効くとは何か

がんになると、多くの人や医者から抗がん剤治療を受けるようにいわれると思います。しかし、ひと口に抗がん剤治療といっても目的によって治療方法が変わってくるのが特徴です。目的を絞って「何のために抗がん剤治療を受けるのか」を知っておくことが大切。これから抗がん剤治療を受ける方、もしくは治療が必要な方が身近にいる場合は、抗がん剤の使用意図や目的を知っておく必要があります。

がんの完治を目指す場合 

白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの「血液がん」の場合は、完治に向けて抗がん剤を投与します。20代で発症する場合もあり、進行が早く危険ながんです。そのため、がん細胞をなるべく小さくすることを目的にした抗がん剤治療を行ない。血液がんは、抗がん剤がよく効く場合が多いため、多くの医療機関で導入されているのが特徴です。他の臓器に転移する前に、早期治療することが改善につながります。

再発予防の場合 

肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんなどの腫瘍をつくる固形がんの場合、通常の抗がん剤だけで完治させるのは困難です。そのため、手術によって腫瘍を取り除いたあと、体内に潜んでいるかもしれないがん細胞に向けた抗がん剤治療が採用されています。再発防止を含めて、手術後に行なわれるのが一般的です。腫瘍を小さくするために、手術前に抗がん剤を投与するケースもあります。

延命させる場合 

がんが進行して、手術ができない、放射線治療も完了した場合に投与します。がんを小さくする効果はあっても、完全に消滅することはほとんどありません。がんや腫瘍を小さくして呼吸困難といった症状を緩和するために使用されるケースがあります。抗がん剤治療は、がん細胞を攻撃する作用を持ってはいるものの、吐き気や頭痛、発熱といった辛い副作用がつきもの。延命効果があっても、平均して2~3ヵ月程度になります。そのため、患者によっては、「1日でも長く延命してほしい」「副作用が辛い」といった意見が分かれるのが特徴。抗がん剤費用や患者の意志を尊重し、さまざまなことを考慮したうえで判断をすることが求められます。

がんの奏効率とは 

奏効率とは、がん治療を患者に施した際、治療後にがん細胞が縮小もしくは消滅した患者の割合を示した指標です。奏効率が20%以上の場合に効果があるとされています。試験後のがん細胞の状態は4段階に分けられるのが特徴です。

CR(Complete Response) 完全奏効ともよばれ、完全に腫瘍が消失していることを表しています。
PR(Partial Response) 腫瘍の大きさが、全体の30%以上消失した状態を表しています。部分奏効とも呼ばれています。
SD(Stable Disease) 腫瘍の大きさが、治療前とまったく変わらない状態を表しています。
PD(Progressive Disease) 治療前と比べて腫瘍が20%以上大きくなった状態を表しています。または、新しい病気が出現した状態です。

奏効率(%)の計算方法は、
(CRの患者数+PRの患者数/治療患者総数)×100=奏効率(%)
注意すべき点として、奏効率の数値だけで「がんが完治する」と認識しないようにしてください。現在は抗がん剤や放射線治療といった治療法があります。効果や目的、費用を正しく理解しながら治療方法を選択していくことが大切です。一般的に誤解されやすい点として、抗がん剤はすべてのがんに作用するわけではありません。血液がん(急性白血病、悪性リンパ腫)であれば改善する可能性がありますが、胃がんや肺がんといった固形がんは抗がん剤だけでは改善できないのが特徴です。手術による切除と予後の抗がん剤で様子を見ます。なお、転移したがんに対しては効果がほとんどありません。がんが発見された時点で抗がん剤治療に踏み出すかを決定できるかが重要になします。

【番外】がんとの共生を考える