~よくわかる大腸がんの基礎知識~

大腸がんのステージと治療を知る
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大腸がん術後の食事

術後の食事は体力を回復したり、健康を維持したりするのに重要です。大腸の調子を手術前の状態に戻すために食事でしっかりと栄養を補いましょう。食生活を工夫するだけで免疫力や体力がついてくるので、身体に良いものをしっかり取るようにしてくださいね。

参照元:国立がん研究センター がん情報サービス 手術後の食事(胃、大腸)
参照元:高橋慶一(2010)『大腸がん 手術後の生活読本』主婦と生活社.

退院後の食事で意識したい5つの基本

退院後すぐに手術前のような食事をするのは良くありません。食事の際に気をつけることをまとめているので見てみてくださいね。

  1. 一度にたくさんの量を食べない

    大腸の手術をした後は、大腸の動きが低下しています。便が停滞気味になり、お腹が張ることが多くなるでしょう。逆に腸が過敏になって下痢をしてしまうこともあります。1度にたくさんの量を食べて腸に負担をかけず、初めは少量ずつ食べて徐々に増やしていくといいですよ。

  2. 多くの食品をバランスよく摂る

    バランスの悪い食事をして栄養摂取量が不足しないように注意しましょう。身体が早く回復するように多種類の食品を使って、さまざまな栄養素を取り入れてくださいね。

  3. よく噛んで、食後は安静にする

    食事をすぐに飲み込むのではなく、1口20回以上を目安に噛むようにして、消化を良くしましょう。また、食後は20~30分程度の食休みをとると消化が良くなります。

  4. 規則正しい食習慣づくり

    毎食を適切な時間帯に食べることは、排便習慣をつくるのに有効です。 不規則な食べ方をしてしまうと、大腸の回復を遅くしてしまう原因にもなるので注意しましょう。

  5. 消化や吸収しやすい食べ物を中心的に摂る

    食べ物が消化しにくい状態で、大腸まで送られてしまうと 下痢や便秘などの原因になってしまいます。 術後に消化しにくい食べ物を摂る場合、特に食物繊維を多く含む食べ物を食べる場合は、 消化しやすい状態になるまで予め加熱調理することも大切です。

必要なエネルギー量を摂るには

毎食「腹八分目」と間食するのが大切

基本的に、大腸がんの術後は1回に食べられる量が一時的に少なくなります。少ない1日のカロリーの中で、栄養バランスがよく消化の良い食事を摂る必要があります。腸の大きさが小さくなっていると分かっていても、想定している以上に食べ物を摂取できません。無理に詰め込んでも、苦しくなるだけなので「腹八分目」を意識してください。間食を適度にとり、食べる回数を増やしていくのがいいでしょう。

退院直後の目安は1日1200kcal

体格や運動量によって異なりますが、退院後の自宅療養期間は活動量が少ないのでエネルギー量を抑えても問題ないでしょう。退院直後の1日のカロリーは1200kcalが目安です。退院した後、日数が2週間ほど経過したら摂取エネルギー量も増やしていくようにしましょう。ちなみに、間食をとる際は1日3食と午前・午後でそれぞれ1回というようにお腹の調子に合わせて食事時間を決めるようにしてください。あくまで理想なので目安として意識しておくといいでしょう。

食べても大丈夫な間食一覧

無理なく食事、栄養を摂るためのヒント

術後は摂り方次第で無理なく食事で十分な栄養を摂ることができるようになります。自分に合った食事法で栄養バランスを整えてくださいね。

術後に表れやすい症状別に合わせた食事の摂り方

大腸がんの術後に表れやすい症状別に食事の摂り方をまとめました。便秘や下痢、お腹が張っているときに 適切に食事を摂ることが大切です。最悪、お腹の腸壁や腸の管がくっついてしまうことで起きる「腸閉塞」になってしまうからです。現在の医療技術は、手術時に「腸閉塞」予防を施してくれるようになり、 発生頻度が少なくなってきているとは言われていますが、万が一にならないように自分で食事管理をしていくことが重要です。

便秘気味の場合

下痢気味の場合

おなかが張るとき

食欲がないときは特にお腹が張っているときは、無理に食べようとしないことが大切です。術後は手術前と比べるとどうしても食欲は落ちてしまうもの。 もし決まった時間に3食食べられない場合は、1度の食事量を減らして何度かに分けて食べてみるといいですよ。量ではなく回数を工夫して、きちんと栄養を摂ってくださいね。

人工肛門(ストーマ)造設術後の場合

人工肛門(ストーマ)をつけた場合は、排泄部位が傷つくことがないよう配慮した食事をしましょう。 排便習慣のために、水分摂取に注意して脱水や電解質バランスが崩れないようなコントロールをしていくのが大切です。皮をむいたり、刻んだり、柔らかく煮たり、調理段階から工夫していくといいでしょう。少なくとも食べ物に関して栄養素別おすすめの食品・控えたい食品の控えたい食品で挙げている食品は、調理を工夫しても腸閉塞の原因になる可能性があるので控えるようにしてください。

また、回腸ストーマの場合、NGな食事記載のガスの発生しやすい食品や便やおならの臭いを強くしやすい食品は、人工肛門(ストーマ)を 不調にさせるようにしましょう。

外食で気をつけるべきこと

外食をするときに気をつけて欲しいのが脂っこい料理を摂りすぎないということ。脂を摂りすぎてしまうと下痢になるのでとくに術後は注意しましょう。

動物性脂肪や油脂類などを多く摂る人は大腸がんの発症するリスクが高まるといわれています。手術したことを良い機会とし、油脂類を控えた食事を心掛けてみてはいかがでしょうか。

外食に多い天ぷらや唐揚げなどの揚げ物、ファーストフード、中華料理などはたくさんの油が使われているので、メニュー選びが重要です。

OKな食事

大腸の手術後はなるべく消化のいい食事を摂るようにしましょう。お腹の調子が安定していない退院後もすぐに口にできる食品がありますよ。消化の悪い食品を使って料理する場合は、消化しやすいように煮たり刻んだりと調理法を工夫するといいでしょう。おかゆやうどん、やわらかく煮た野菜、豆腐がおすすめです。

このサイトの運営をしている私たち【腸・時短レシピ研究会】は、大腸がん術後の食事サポートとして超(腸)時短大腸がん術後レシピサイトを運営しています。「やわらかい食事を出すために、加熱調理の時間がなんとか短くならないか」考え、大腸がん術後の食事を時短調理したいと考え、管理栄養士の方に監修いただきさまざまなレシピを考案しています。大腸がんの術後の方々に、20分以内で調理できる食事レシピを提供しています。運営しているレシピサイトの記事を一部抜粋して下記に紹介いたしますので、OKな食事の参考になれば幸いです。

NGな食事

術後は消化の悪い食べ物はできるだけ控えるようにしましょう。食べる際に量を少なめにするか、煮る・刻むなど消化しやすい調理を行うようにしてください。食物繊維が多く含まれている食品は便秘を解消するため良いとされていますが、大腸の手術後は控える方がよいでしょう。また、ガスが発生しやすい食品は、お腹が張りやすくなるため控えましょう。とくに、退院したばかりの頃はお腹の張りで傷あとが痛むことがあります。手術後しばらくは避けましょう。

大腸の手術後は常在細菌の組成が変わるため、臭いが強くなったと感じることがあります。異常ではないのであまり気にすることはありませんが、便の臭いを一層強くしてしまう食品もあるので、改まった用事のときは控えておくと、臭いを気にせず過ごせます。また、香辛料は食欲増進に繋がるため、少量なら良いでしょう。しかし、摂りすぎてしまうと吐き気が襲ったり、消化器官粘膜を荒らしたりしてしまうので注意しましょう。

消化の悪い食品 こんぶ、きのこ、わかめ、こんにゃく、鶏肉(皮は取り除く)、鶏ささみ、脂肪分の少ない牛・鶏肉、レバー
食物繊維の多い食品 たけのこ・豆類・ふき・玄米パン、麦芽入りパン・乾燥品(切干し大根、干ししいたけなど)・ごぼう・生卵、トウモロコシなど
ガスの発生しやすい食品 ごぼう・炭酸飲料・豆類・ビール・いも類・かぼちゃ・牡蠣・エビ・玉ねぎなど
便やおならの臭いを強くしやすい食品 ピーナッツ・らっきょう・アスパラガス・にんにく・肉類・キムチ・カニ・エビ・肉類など
刺激物、油脂類、冷たい食品 からし・こしょう・にんにく・とうがらし・キムチ、牛乳など

※基本的に、上記に挙げた食品がNGな食事にはなりますが、大腸がんの術後に絶対食べてはいけないものではないので、医師と相談するようにしましょう。

参照元:国立がん研究センター がん情報サービス 手術後の食事(胃、大腸)

栄養素別おすすめの食品・控えたい食品

種類別栄養素 おすすめの食品 控えたい食品
タンパク質 鶏肉(皮は取り除く)、鶏ささみ、脂肪分の少ない牛・鶏肉、レバー、アジ、カレイ、ヒラメ、サケ、タラ、カキ、はんぺん、豆腐、ひきわり納豆、やわらかく煮た豆、きなこ、牛乳、乳酸飲料、チーズ、ヨーグルト、うずらの卵、鶏卵 脂肪分の多い牛・豚肉、揚げたり炒めたりした肉料理、脂肪分が多い肉の加工品(ベーコン・ハムなど)、すじこ、タコ、イカ、貝類、塩辛、干物、かまぼこ、枝豆、大豆
糖質 やわらかく炊いたご飯、おかゆ、うどん、マカロニ、パン、さといも、じゃがいも、熟したバナナ、りんご、洋なし、もも、くだものの缶詰、ゼリー、カステラ、ビスケット 赤飯、玄米、チャーハン、ラーメンや焼きそば、胚芽入りパン、玄米パン、さつまいも、しらたき、こんにゃく、柑橘類、パイナップル、プルーン、干しぶどう、香辛料の強いもの、豆菓子、揚げ菓子
ビタミン・ミネラル やわらかく煮た野菜(かぶ、ブロッコリー、カリフラワー、かぼちゃ、キャベツ、トマト、大根、白菜、なすなど) きのこ類、にんにくやらっきょうなどの香りの強い野菜、ごぼうやとうもろこしなど繊維の多い野菜、のり、ひじき、こんぶ、わかめなど
脂質 バター、植物油、生クリーム、マーガリン ヘッド、ラード、天ぷら、フライ

おすすめの食品の調理法

基本的には、上記で挙げた食べ物の調理法は「焼く、煮る、蒸す、細かく刻む」がおすすめです。 もし、術後1週間以内の方の場合は加熱調理をしっかりして、やわらかい状態で食べるようにしましょう。

経験者の食事に関する体験談

油物には弱くなりました

大腸がん手術後3ヶ月、そろそろいいかな?と大好物だった唐揚げをパクリ…即トイレに駆け込みました。油物にはめっぽう弱くなり、自動的に健康的な食生活になりました(泣)。(30代・男性)

お弁当持参のヘルシースタイル

会社の近所にはコンビニばかりなので、必然的にお弁当持参になりました。家の近所のマクロビ系の弁当を買おうと思ったときもありましたが、そうすると玄米が多く、玄米はあまりよくないと聞いたので…。面倒ですが、仕方ないです。(50代・女性)

自然といろんな数値が改善された

極力自炊し、外食の場合でも野菜から食べる、なるべく薄味をセレクト…など工夫をしていたら、やや高めだった血糖値や血圧の数値も改善され、体重も抗がん剤の影響で落ちていた時期に比べると、もちろん戻りましたが、標準体重をキープできています。怪我の功名とでも言いますか、がんになる前よりも健康になったような気がします。(男性)

やはり、従来通りとは行かずに、工夫・苦労されている方が多いようです。ただ、「今まで気にしていなさすぎた」と自覚している人も多い印象でした。結果的に健康になったという意見もあり、そういった変化をどれだけ楽しめるかが、こういった食生活が継続できるかのカギになりそうですね。