~よくわかる大腸がんの基礎知識~

大腸がんのステージと治療を知る
大腸がんのステージと治療を知る » 大腸がんの手術後の生活の質(QOL)を高めるために知っておくべきこと » 大腸がん(直腸がん・結腸がん)の手術後に生じる排尿障害とは?

大腸がん(直腸がん・結腸がん)の手術後に生じる排尿障害とは?

大腸がんの中でも特に直腸がんにおいて、手術後に尿意を感じなくなったり、おしっこをしたくてもなかなか排尿できなかったりという、排尿障害が起こることがあります。

参照元:国立がん研究センターがん情報サービス,「大腸がん手術後の排便・排尿障害のリハビリテーション」[online](https://ganjoho.jp/public/dia_tre/rehabilitation/colon.html(2018年7月25日参照))
参照元:日本泌尿器科学会,「頻尿(ひんにょう)とは」(https://www.urol.or.jp/public/symptom/02.html(2018年7月25日参照)

排尿障害は日常生活を送る上で非常に重要な問題ですので、予防策や改善策、また排尿障害が残った際の付き合い方などをしっかりと覚えておきましょう。

大腸がんの手術後に排尿障害が起こる場合がある?

骨盤内手術によって起こる排尿障害

直腸がんの手術のような骨盤内の手術において、排尿機能に関わる神経が損傷され、尿意を感じられなくなったり、正常におしっこが出なくなったりする排尿障害が生じます。

排尿障害の原因になり得る骨盤内手術としては、直腸がんの手術の他にも、子宮がんや前立腺がんなどの手術があり、神経の損傷具合や、前立腺がんの場合では筋肉の損傷具合によって重症度も変化する為、注意しなければなりません。

直腸がん手術後の排尿障害の症状

排尿障害が軽度の場合、尿意はあり、また少量でも自分でおしっこを出すことが可能です。しかし、術後しばらくはカテーテルを尿道に差し込んで尿を抜く「導尿」を行うことが通常です。

手術で傷ついた神経が回復するまでの間に、膀胱に尿が溜まりすぎると、膀胱の筋肉が伸びきってしまい、排尿障害が慢性化する恐れがあります。その為、残尿量が50mlほどになるまでは導尿を継続すべきでしょう。

ただし、術後半年が経過しても症状が改善されない場合、それ以上は回復があまり見込めなくなるので、自己導尿など排尿障害との付き合い方を考えていかなければなりません。

自己導尿の適応の判断

自己導尿の適応要件

立つ・座るといった動作を行えて、導尿手順を適切に守れる人であれば、自己導尿は自分で行います。ですが、認知力が低下していたり、身体機能が低下して適切な処置をすることが難しかったりする場合、家族や支援者が代行します。

また、自己導尿を欠かさず行う意識・意欲といった精神的要素も、自己導尿の適応要件として重要です。

自己導尿の方法

カテーテルを尿道口から膀胱まで差し込み、尿を排出します。この際、尿量を測っていくことも大切です。

導尿は、自然排尿が完全に不可能になっている患者で4時間おきに行い、尿意や尿量に関係なく、定期的に膀胱を収縮させなければいけません(1回につき300~400ml以下に調節)。

その他の原因による排尿障害

排尿障害には、加齢やストレス、肥大した子宮や前立腺による膀胱圧迫が原因で、おしっこが出にくくなったり、逆に頻度が増えたりする排尿障害もあります。また、残尿感や尿漏れも排尿障害の一種です。

排尿障害の症状の内容や程度は、原因や人によって様々であり、気になる人は恥ずかしがらず医師に相談するようにしましょう。