日常的な食材として、特に気にすることもなく食べているトマト。体に良いということは噂で聞いたことがあるものの、どんな成分がどんな効果を持つのかについて、詳しくは知らないという人も少なくないでしょう。トマトに含まれる成分には様々なものがありますが、特に注目すべきはリコピン。強い抗酸化作用、脂肪の蓄積を抑える作用などで知られる成分ですが、最近では、特定の種類のがんの予防・抑制効果も持つとの研究報告が注目されています。
かぼちゃとは、ウリ科カボチャ属に属する野菜のこと。原産は南北アメリカ大陸ですが、古くから他の地域でも栽培されていたことが分かっています。 日本にかぼちゃが伝来したのは天保年間(1532~1555年)。カンボジアの野菜として、当時のポルトガル人が日本に運んだのが始まりとされています。当時、カンボジアの野菜ということから、カンボジアが転訛して「かぼちゃ」と呼ばれるようになった、と伝えられています。
かぼちゃを大きく分類すると、「ペポ種」「西洋種」「日本種」の3種類。普段、私たち日本人が食しているかぼちゃは、これらのうち「西洋種」になります。
かぼちゃに多く含まれる代表的な成分は、以下の通りです。
かぼちゃには、体内でビタミンAに変化するβカロテンが多く含まれています。風邪の予防効果や、皮膚の抵抗力を高める効果があるとされますが、近年では、生活習慣病予防効果やがん予防効果についても盛んに研究されています。
かぼちゃには食物繊維が豊富に含まれています。大腸の働きを良好にし、便秘解消、全身の免疫力アップ、美容面への影響等、様々な効果が期待できます。
疲労回復効果のあると言われるビタミンB1、口内炎予防効果で知られるビタミンB2、高い抗酸化作用で知られるビタミンC、抗酸化作用と血行促進作用が高いとされるビタミンEなど、日本人が不足しがちとされるビタミン類が、かぼちゃには豊富に含まれています。
リグナンとはポリフェノールの一種。大豆イソフラボンと同様の働きをすることで知られ、女性の薄毛改善などに役立つとされています。
かぼちゃに含まれている成分の中には、がん予防やがん改善に良いとされる成分がいくつかあります。上で紹介したβカロテンは、その代表的な成分です。他には、以下の成分ががん予防に良いとされています。
疫学調査によると、大腸や皮膚、乳房、子宮、肺における発がん抑制作用があるとされています。
セレンの欠乏症が、がん発症に関係している一要因であると指摘されています。セレンに加えて亜鉛を摂取したがん患者において、血液データに有意な変化が見られたとする報告もあります。
かぼちゃを使った料理には、すでに様々なものがあります。
最も日本人の口に合う食べ方。スーパーのお惣菜コーナーでも定番となっています。
寒い日には、かぼちゃのポタージュスープで体を温める人も多いことでしょう。
ジャガイモではなくかぼちゃを主役に招いたコロッケ。甘味が口の中一杯に広がります。
ケーキやクッキー、パイなどの材料として利用されることもあります。
かぼちゃの種を炒ったおつまみも人気。かぼちゃの種には豊富な栄養が含まれています。
[※1] 杉浦実『β-クリプトキサンチンと生活習慣病リスクとの関連:疫学研究からの知見』(2012年)
[※2] 小山洋,MUTAKIN,Rizky ABDULAH,山崎千穂,亀尾聡美『セレン補充によるがん予防と糖尿病発病リスクーSELECT研究とその後ー』(2013年)