
抗がん剤の副作用の1つである吐き気は、精神的にも肉体的にも負担がかかる辛い症状です。ここでは抗がん剤で吐き気が起こる原因や症状が起きるタイミング、対処法まで掲載しています。
抗がん剤による吐き気や嘔吐は、症状の現れる原因やタイミングによって、大きく3つに分かれています。
まず抗がん剤治療開始から24時間以内に症状が現れるものを「急性嘔気、急性嘔吐」と言い、逆に24時間以降に症状が現れるものは「遅延性嘔気、遅延性嘔吐」と呼ばれます。基本的にはこの2つで、治療から24時間を境に名称が変わるのが特徴なので覚えておいてください。最後のひとつは「予測性嘔気、予測性嘔吐」です。これは、嘔吐した経験が脳にある大脳皮質と呼ばれる部分を刺激することで吐き気や嘔吐が起こるといわれており、精神的な要因が大きいとされています。
抗がん剤の副作用で吐き気が起こる原因は、抗がん剤に含まれる成分が脳のなかの嘔吐中枢と呼ばれる部分が刺激されることで起こります。また、抗がん剤治療と放射線療法を並行して治療を行なっている場合、放射線治療の照射場所によっては、食道や胃に炎症を引き起こすことがあります。抗がん剤で脳の嘔吐中枢が刺激されている状態で炎症が起こると、通常よりも吐き気や嘔吐が起きやすくなるので注意してください。
吐き気や嘔吐といった副作用は、早い人では抗がん剤治療を開始して、数時間後から起きはじめます。3~4日間程度で症状は落ちつきますが、中には5日以上続くケースも。このように人によって吐き気や嘔吐を起こす期間や時期にばらつきがあるのが特徴です。逆に全く吐き気や嘔吐が起こらない場合もあります。人によって症状の起きる機関や症状にばらつきがある理由は、使用する抗がん剤の種類や量、組み合わせや治療する期間などが症状に応じて違うからです。
抗がん剤による吐き気は、いつ起こるのか医師にも判断できないものです。そのため、吐き気を無くす予防策はありません。しかし、吐き気を軽減する方法はあるので、方法を以下にまとめました。
抗がん剤の副作用による吐き気はとてもつらいものです。少しでも軽減できるのなら試す価値があります。吐き気を軽減する方法としては、抗がん剤治療を受ける日の食事は少ない量にしたり、治療が始まる数時間前からは一切食べないようにすることで、胃の中に食べ物が少なくなり、軽減できることがあります。嘔吐をしてしまった場合も、胃酸の量が少ないので食道へのダメージが減り更なる吐き気を防ぐこともできるのです。
また乳製品は消化に時間がかかるので、治療中は控えたほうが副作用を抑えられるでしょう。当然ですが、体を強く締め付けるような下着や衣服は吐き気を増長させるので、可能な限り控えてください。
最近は多くの吐き気止めの薬が開発されているので、薬を利用することで吐き気や嘔吐の症状を軽減できるようになりました。病院から処方されるケースがありますが、その際は、医師や薬剤師の指示に従いましょう。また、吐き気が強いときに使用するものもあります。飲み薬以外も点滴や座薬など種類はさまざまなので、担当医と相談しながら使用していってください。
寝た状態で体を横向きにして、内側に曲げると良いでしょう。また口の中の温度を下げたり、味やにおいを消す方法も効果的です。音楽やテレビを視聴する、ゆっくりと腹式呼吸を行なうと、吐き気が楽になることがあります。
食事をすると嘔吐してしまう場合は、食べられるものを探してゆっくりと時間をかけ、少量ずつ食べていきましょう。
また食事のたびに激しい吐き気に襲われるときは、1~2食控えてみてください。その際は水分をできるだけとることを忘れないでください。