~よくわかる大腸がんの基礎知識~

大腸がんのステージと治療を知る
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大腸がんの後遺症(性機能障害など)

大腸がんの手術を受けるとさまざまな機能に後遺症が残る場合があります。これらの後遺症は長年残るものだけではなく、数ヶ月後や数年後には治る症状も。さまざまな後遺症について紹介します。

参照元:藤田 伸、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 大腸がん』小学館クリエイティブ.
参照元:福長洋介(2016)『よくわかる最新医学 大腸がん』主婦の友社.
参照元:高橋慶一(2010)『大腸がん 手術後の生活読本』主婦と生活社.

後遺症の多くは直腸がんの手術で起こる

結腸がんによる手術ではほとんど後遺症はないと言われていますが、直腸がんを受けた場合、いくつかの後遺症がみられます。大腸がんの手術は、肛門に近い部分にある直腸周辺やそのまわりのリンパ節の切除。手術する仙骨上端から肛門管直上までにかけては自律神経が近く、手術の際に傷つくことがあるのです。

盲腸や結腸、直腸などに分かれている大腸。がんの手術によって起こる障害は排便機能、排尿機能、性機能に関する3つが考えられます。機能障害は摘出されるリンパ節や、腸の範囲などによって異なるとされており、その範囲はがんの深さや部位などによって異なるのです。原因は各機能障害によって異なり、対策法もそれぞれにあったものを行う必要があります。

排便障害

大腸がんの術後の後遺症のひとつに下痢・軟便・便秘などの排便障害があります。これは便を溜める役割をしている直腸の一部が切れることによって起こる後遺症です。症状として、ほとんどの人が排便の回数が増えたと実感。1日に5~6回、多い日だと10回にまで及ぶこともあるようです。また、排便のリズムが乱れることによって、便が多く出る日もあれば、全くでない日が続くこともあるのです。急に便意をもよおすことがあるため、外出時に漏らしてしまわないか心配という方も多くいます。また手術前は、排便リズムが崩れてしまうことを知っていても、いざ排便障害になると驚いて不安になる方も。術後はほとんどの方が排便障害になる可能性が高いのであまり驚く必要はありません。

排便障害の対策

もし、排便障害が気になるのであれば、オストメイトマークのあるトイレを事前に把握しておくといいでしょう。 オストメイトマークとは、人工肛門や人工膀胱を造設している人のための施設・空間を表すマークです。 もしどうしても心配だったり、長い間下痢や軟便、便秘が続いたりする場合は医師に相談してみるといいでしょう。 排便障害への対処法や体験談は別ページでも掲載しています。

知っておきたい大腸がん手術後の排便事情

排尿障害

大腸がんの術後は排尿障害が発生してしまうことがあります。原因はがんを摘出する際にリンパ節も一緒に取り除くため。摘出した際に骨盤内にある排尿機能に傷がついてしまい、正常に排尿できなかったり、尿意を感じずに漏らしてしまったりといった排尿機能障害が起こるのです。排尿機能障害が軽度だと、カテーテルを尿道に通して尿を取ったり、腹部にちからを入れたりして取ったりすることができます。骨盤内にある神経が全て損傷している重度の場合は定期的に導尿しなければなりません。

排尿障害の対策

対策として、排便障害と同様でオストメイトマークを把握しておくのがいいでしょう。排尿障害の場合、気を付けなければならないのは脱水症状。頻尿や多尿により、身体の水分が抜けていく可能性が高いので十分な水分補給をするように心がけましょう。

性機能障害

大腸がんの術後は性機能にまで障害を及ぼすことがあります。下部の進行直腸がんの場合、男性によくみられる後遺症です。手術の際に骨盤と壁に1番近いリンパ節を一緒にとることによって神経が傷つき、性機能障害が起こります。

性機能障害には2種類あります。射精障害と勃起障害の2つ。自立神経に傷をつけずに手術したとしても、70%ほどしか機能が保たれません

性機能障害は精神面にも大きく関わっています。そのため、すぐに解消されるのではなく半年~1年ほど改善に時間がかかると考えた方が良いでしょう。性機能障害は精神的に緊張しているほど、その症状が強くなる傾向にあります。

女性の場合は、性的興奮の低下したり、性に対しての嫌悪感を抱いたりといったことが生じるといわれています。

性機能障害の対策

パートナーの理解や協力を得て、精神的ストレスを取り除くことが不可欠です。プライバシーの問題ではありますが、抵抗がなければ担当医やカウンセラーに相談するようにしましょう。

後遺症で気分が沈むと状況が悪化してしまうことも

さまざまな後遺症が出ると、気分が沈んでしまうこともあるでしょう。しかし、それだと状況は悪化する一方。外出が億劫になったり、気分がなかなか上がらないといったときは心身ともにストレスを感じている状態です。その状態が続くと回復にも影響を及ぼしてしまいます。このサイトではその心理状態との向き合い方を考えるページ「大腸がんとの共生を考えるページを設けているので、ぜひ読んでみてください。

【番外】がんとの共生を考える

大腸がんの後遺症に関する体験談

後遺症のため日に何度もトイレに通う私

いきてるさん(男性)

後遺症のため日に何度もトイレに通う私。

必然的にいろんなことが気になります。

その中の一つがトイレットペーパーの三角折。

これですね。

三角に折るのがマナーなのか?。

疑問に思ったので調べてみました。

そもそもの始まりは消防署だそうです。

消防署では、出発時間を1秒でも早めるためにあらゆる工夫をしています。

トイレットペーパーの三角折も、そのひとつでした。

これに感銘を受けたのがなんと帝国ホテル。

見た目の良さもさることながら、サインとして使えるのではないかと考えました。

そのサインとは、「清掃済み」。

清掃員が次の清掃員に済んだことを伝えるために三角折にしていたわけです。

これが、評判を呼んで全国のホテルに波及。

さらには飲食店にまで広がったわけです。

従って、三角折はマナーではありません。

それどころか、意味なく折れば清掃員にとっては大迷惑となります。

ところが

さすがは、たたむのが大好き国家、日本。

トイレットペーパーを折るのを文化にしようじゃないかという動きがあります。

引用元:トイレットペーパーの三角折 | 今日もいちにち生きました

下半身のしびれのため大量の医療用麻薬が必要

いきてるさん(男性)

以前からずっと考えていたことですが

本日休職の意向を会社に伝えました。

同時に、直近のPET検査で

傍大動脈のリンパ節に怪しい影が見つかったこと。

それに対し現状の西洋医学ではなすすべがないこと。

後遺症の下半身のしびれのため

大量の医療用麻薬を必要としていることを説明。

この二つの解決のために

東洋医学にその活路を求めたい旨を話しました。

西洋医学の主治医は、

代替医療には懐疑的なのですが

統合医療としての医学連携には

理解を示してくれています。

東洋医学にはエビデンスがないと

言われればそれまでですが

何もしないで

かといってただ手をこまねいているよりは

はるかに精神的にもよろしい。

ということで治療の枠を拡大し

それらに専念するため

休職願いの意を表しました。

引用元:休職します | 今日もいちにち生きました

私の抱えている後遺症は3つ

いきてるさん(男性)

2016年8月に骨盤内全摘術を受けました。

その前に、放射線治療もしてましたので

後遺症があるだろうとはずいぶん言われたものです。

術後、出ました。

わけのわからない後遺症が。

40度の高熱、CRPも極度に高い。

一体、何が原因なのか。

病院でも特定できません。

やったのは抗生物質の多種投与。

数撃ちゃ当たるという考えです。

それでも安定しない。

結局、4ヶ月の長期入院になりました。

あれから2年近くが経ち

さすがに今は何が起きているかが概ね読めます。

私の抱えている後遺症は3つ。

1)腎盂腎炎。

  尿路感染から腎臓にまで菌が入り込み

  腎臓が腫れます。

  決まって、左側の腎臓。

  結構痛いんです。

  去年はこれで2度入院しました。

2)膿瘍。

  臓器を全部取っているので私の骨盤内は

  空洞です。

  ここに体液が溜まるんですね。

  そして膿化。

これは痛い。

  今年の一月に手術で膿瘍を取り、体内洗浄と抗生剤で落ち着きました。

  体液は、今も毎日お尻から出ます。

  オムツで受け止めてますが、これは出した方がいいので、出ている間は安心です。

  ケアが大変ですが

3)腸閉塞。

  一般に腸閉塞は術後3ヶ月が危ない時期ですよね。

  でも私の場合は1年半も経ってから出ました。

  しかも2回。

  これがくると痛みのために何もできません。

  一刻も早く病院に飛び込むのみです。

とまあ、こんなリスクに囲まれた生活を送っているのですが

今朝朝の3時ごろ、いきなり腎臓が痛み出しました。

やばい。

このまま救急車か。

とりあえずオキノームをがぶ飲み。

抗生剤が余っていたのでそれを飲んで様子を見ていたら

朝までには回復しました。

引用元:後遺症 | 今日もいちにち生きました

縫合が不完全になっている

はるもちさん(男性)

腸を縫い合わせた部分の縫合が不完全(縫合不全)になっている。

先ほど注腸のX線検査をして、正式に判明。

良かったのは、漏れてはいるが、腹腔内には漏れていないこと。

ならびに、血液検査の汚染を示す値も23-15-9など、徐々に下がっているとのこと。

そのまま様子をみて、ダメならば、再手術してテンポラリーな人工肛門になる。

何が嫌って、また手術ってのが嫌だ。

絶対に嫌だーーー!

引用元:縫合不全 | はるもちの「大腸がん」日記

私の直腸では排出機能がままならない

akayak38さん(男性)

その後も通常勤務は順調にこなすことができ、毎日の生活にもすっかり慣れてきた。

トイレに頻繁に行く必要はあるものの(特に午前中)、人間慣れるものである。

特に大きな問題はなく日々は過ぎる。

が、7月2日(木)の朝、突然ひどい腹痛が発生。

布団に横になって痛みに耐えてはトイレに入ったりの繰り返し。

何回か通常の便が出ると、最後には下痢便がたくさん。

便が出きってしまった後、何事もなかったかのように腹痛は収まりました。

この間、30~40分程度。

おかげでこの日は少し会社に遅刻。

最初は救急車呼んだ方がいいのかな?と思うほどの腹痛でした。

どうやら、奥の下痢便を出したいのに、その前にたくさんある通常便がじゃまして出られないことからくる痛みだったようだ。

1/3の長さになった私の直腸では排出機能がままならない、、ということか。

そしてこの腹痛、7月13日の朝、8月1日の夜、にも起きる。

一度経験した強み(?)からか、トイレに行って早く出してしまえ、と冷静に対処。

前日の食事などを思い出し、原因となる共通の食事はあるのか?共通の生活習慣??などなど、この腹痛を引き起こした要因を考えてみた。

が、共通の理由は見つけられなかった。

3回目の時はファンタを飲んでいたのがあったので、炭酸飲料はやっぱりしばらくやめておこうということにした。

そんな2か月間を過ごしたのちの3か月定期検査でした。

ちなみに8月14日はお盆休みですが当病院は通常どおりやっています。

患者としては有休を使わないで済むので大変助かります(入院前と入院でたくさん有休を使っているので...)。

採血を済ませたのち、外科外来を受診。

上記最近の様子を伝える。

さらっと一言。

先生「排便障害ですね。

あ、そう。

ま、そうだよね。

対処法があるようなないような。

引用元:3か月目定期検査 - akayak38 blog

食べ過ぎが胃腸に負担をかけているのかもしれません

akayak38さん(男性)

もともと毎日朝にがっつり1回派だった私ですが、1日だらだら何回かの頻便派になってしまいました。

まあ、慣れてしまえば気にならないものです。

便秘かな?と思った時は酸化マグネシウム錠にも頼りつつ。

そんな日常ですが、たまにある飲み会にて腹痛が起きることがありました。

毎回ではないので共通点は何かな?と思って振り返ってみると、、、

  • 会社の忘年会、歓送迎会、、 ⇒ 異常なし
  • さまざまシーンでの居酒屋等での飲食 ⇒ 異常なし
  • 昨冬の名鉄カキ食べ放題 ⇒ 腹痛発生!
  • 先週のビアガーデン(食べ放題) ⇒ 腹痛発生!

あ、、、食べ放題だ!

食べ放題になると心理的にどうしても食べ過ぎてしまう、、この食べ過ぎが原因なのでしょうか?それが胃腸に負担をかけているのかもしれません。

ちなみに、上記2回の腹痛の出方は、ともに2時間ほどの飲食後、店を出て腹痛が出始め、トイレにこもり、通常便のあとに軟便が出てくるのでそれが出きってしまえば治まります。

なので酔いが回っていても冷静に対処できます。

おなか触りながら「トイレ行ってくる~」とか言って、しばらく帰って来ないので心配されてしまいますが。

今後は食べ放題にも注意していこうと思いました。

引用元:これも排便障害の延長線上? - akayak38 blog

雨が降ると手足の痺れがひどくなるような

kさん(女性)

今日の京都は雨がザンザカ降っております。

明日は通院で、先日のPET CTの結果を聞きに行ってきます!

そしてユーエフティ+ユーゼル3クール目も始まる予定006.gif

雨が降ると、術前抗癌剤エルプラットの後遺症の手足の痺れがひどくなるような〜

まあ気持ち悪いだけで、日常生活に差し障りはないのですけどね。

引用元:大腸癌と私

抗癌剤によるだるさが多少あるのかな

kさん(女性)

手術の傷の痛みはたまに感じます。

気候によったり、大笑いで腹筋使った時など。

まだUSJでライドに乗るのは心配です^_^;

だるさは…手術の後遺症というより、抗癌剤によるだるさが多少あるのかな…

急に検査が入ったりもするので、術後抗癌剤が終わるまでは休職させてもらう予定です(^^)

引用元:MRI結果発表! : 大腸癌と私

直腸が短くなったためか、押し出す力が無いようです

めだかさん(男性)

程無くして、便意が。

早速、トイレに行きました。

ところが、中々出てきません。

 直腸が短くなったためか、押し出す力が無いようです。

後遺症のひとつと思われます。

格闘のうえ、出てきましたが、 カッチカチ。

これまで、管が付いていたため、水分だけが多く排出されたためと思われます。

振り返り、うんちを見ると、血が付いていました。

肛門が傷ついたようにも思えましたし、ひょっとしたら縫合部の不具合? 気になったのでナースコール!

看護師さんに、うんちを見てもらいました。

最初の1~2回は、血が混じることがあるとのことで、様子見となりました。

結果として、2回目も血が付いていましたが、3回目以降は問題なし。

お尻の管が取れるのに1週間かかりましたが、無事にすべての管の撤去が完了。

夜は、ぐっすりと眠ることが出来ました。

引用元:26.術後7日目 | 40代半ばの大腸がん闘病日記

末梢神経障害はほぼ感じなくなりました

妻さん(女性)

【仕事】

大腸がんの前と比べて、とくに変化なく動けています。

手術後はやはり疲れやすかったりしましたが、夫の場合、自宅の中でできる筋トレを少し取り入れることによって体力や力でいうと、手術前より今のほうが調子いいです。

【食生活】

とにかく薄味になりました。

出汁や素材などに気を使うようになりました。

一汁三菜を意識するようになりました。

夫ではなく、妻の私が(笑)

自然な流れでそうなったので、大きく負担が増えたわけではないですが、家族全員、健康的になりました。

野菜などの素材の味を楽しめるようになりました。

とくに食べてはいけないものなどはないのですが、加工食品や添加物が多い食材は避けるようになりました。

でもストレスになってはいけないので、そこはゆる〜く。

【副作用】

抗がん剤治療を終えてから1年半が過ぎたころに末梢神経障害はほぼ感じなくなりました。

抗がん剤治療がよかったのか悪かったのかは未だにわからないのですが、「あの時の私たち夫婦の判断としては正しかった」」と思っています。

【その他】

大きく変わったのは「意識」でしょうか。

命に限りがあることはもちろんわかっていたのですが、やりたいと思ったことはなるべく後回しにしないことを意識しています。

夫は気がついていないところでストレスを感じている部分もあったようなので、そこは会話の中で汲み取って、臨機応変に対応。

あとは健康診断をしっかりうけるようになりました!

引用元:最近の生活とリズム | 大腸がん 夫の視点、妻の視点