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ハナビラタケが大腸がんに与える影響とは

「幻のキノコ」と呼ばれるハナビラタケについてリサーチしました。特徴から研究結果、注意点についてもまとめています。

ハナビラタケとは

標高1000m以上の高山に生育しているハナビラタケ。太陽光の当たらない湿度と通気性の良い環境を好みます。寄生先である針葉樹にはヤニなどリグニンと呼ばれる毒性ポリフェノールが多く含まれおり、通常の菌類(キノコ)はこれらの毒素が分解できません。しかし、ハナビラタケはこの強い毒素を分解し生育しているキノコなのです。

ハナビラタケは白色や淡黄の色をしており、非常に大きな子実体(しじつたい)に育ちます。中にはバレーボールサイズになるものもあるのだとか。成長したハナビラタケは、白い花が咲いているように美しく姿をしています。

乾燥させたハナビラタケは炭水化物が全体の70%近くを占めます。その炭水化物の半分以上がβグルカンという健康維持において重要な役割を果たしている成分です。βグルカンには免疫力を向上せる効果があるため、健康補助食品によく利用されています。

またハナビラタケは食感が優れているため、プロの料理人から人気です。蒟蒻や豆腐に近いローカロリーな食材で生でも食べることが可能。見た目もきれいなので、料理の飾り付けにも最適です。

ハナビラタケはがんに対してどのような影響を与えるか

免疫力を高めてくれるβグルカンが豊富に含まれているハナビラタケは、がん(抗腫瘍)にどのような影響を与えるのでしょうか。ここでは、いくつか研究結果をピックアップしました。

子実体に抗腫瘍効果が確認できた

ハナビラタケの子実体・菌糸体の抗腫瘍作用についての報告によると、子実体に抗腫瘍効果が認められました。菌糸体(根の部分)と子実体(地上に出ている部分)を、それぞれがん細胞を移植したマウスに30mg/kg/日、15日間経口投与。腫瘍の大きさを4週間測定して5週目に腫瘍の重量を計量しました。

その結果、子実体投与群では腫瘍の成長抑制が確認され、菌糸体投与群では抑制効果は認められなかったとのこと。さらに子実体投与群の腫瘍抑制率は約50%を達成しました。菌糸体投与群ではわずかに抑制されたのみ。菌糸体と子実体のβ-グルカンの含有率に大きな違いがあったのだとか。その結果から抗腫瘍効果にはβ-グルカンの構造と含量に起因すると考えられています。

[※1]

ハナビラタケから新しい細胞活性を発見

ハナビラタケの抽出物から新しい細胞活性が発見されました。今回見つかった細胞活性はサイレントエストロゲンといわれる成分です。従来のエストロゲン(女性ホルモン)活性の利点を保持しています。
それと同時に、エストロゲンのがんの増殖を活性化するという欠点を持たないのが大きな特徴です。その特性から「エストロゲン製剤」「抗エストロゲン剤」「抗がん剤」「抗動脈硬化剤」「健康食品」などに利用できることが示唆されています。

[※2]

NK細胞への影響

ハナビラタケがNK(ナチュラルキラー)細胞へどのような影響を与えるかを調べました。研究結果を以下にまとめています。

ハナビラタケの免疫調整作用の試験

βグルカンを多く含有するハナビラタケの経口摂取により、免疫系に与える影響を確かめるためにマウスおよびヒトにおけるNK 細胞活性化効果について試験を行ないました。がん細胞を移植したマウスにハナビラタケ粉末を経口投与し、移植5 週間後に投与群は、不投与群と比較して腫瘍重量は縮小。マウスの生存率が高い結果がでました。

またハナビラタケ粉末を摂取したヒトのNK 細胞活性は摂取期間8 週間で上昇したのち、中止4 週間後には低下。以上の試験結果からハナビラタケの経口摂取によって抗腫瘍やアトピー症状改善およびNK 細胞活性上昇効果があることがわかりました。ハナビラタケは免疫系を活性化し、免疫調整作用を持つことが示唆されています。

体内でのメカニズム

βグルカンがガンの予防・転移を抑制

ハナビラタケには、βグルカンという成分が豊富に含まれています。食品の中でもハナビラタケには最も多くのβグルカンが含まれているそうです。このβグルカンは免疫力を高めるといわれていて、がん細胞の増殖や転移を防ぐのに期待できます。治療中はもちろん予防のためにも積極的に摂りたい成分です。

肝機能を活性化にしてくれる

βグルカンは肝機能を高めてくれる効果があるとされています。免疫力がアップするので、肝炎のウィルスにも有効。肝機能が低下している人にもおすすめです。

研究結果で判明!アンチエイジング効果

ユニチカ株式会社の研究結果※4からハナビラタケには美白・美容効果があることが判明しました。コラーゲンの生成を促すことで、シミの原因となるメラニン色素が生成されるのを抑える効果があります。またうるおいやハリを取り戻して、紫外線から皮膚を保護してくれる効果に期待できるそうです。

ハナビラタケを摂取する際の注意点

無農薬のものを選ぶ

天然のハナビラタケは数が少なく「幻のきのこ」と呼ばれているほどです。市場に出ているものはほとんどが栽培されているもの。栽培されたハナビラタケを食する場合、無農薬を選ぶことをおすすめします。

最初は少量摂取を心がける

ハナビラタケを摂取して免疫力が上がると老廃物や有害物質を体内から排出しようとします。この際、体質によってお腹を下してしまうことも。身体に良い食材だからといって大量に食べることはせず、最初は少量から摂取しましょう。

過信は禁物!あくまで食品による補助的な「代替治療」

ハナビラタケは免疫力を高めてくれますが、健康補助食品です。あくまでも代替治療として考えましょう。またサプリメントとして飲む場合は主治医に相談してください。

参考文献

[※1] 「ハナビラタケの菌糸体と子実体の抗腫瘍活性の比較」

[※2] 「ハナビラタケの標準化と有効活性の発見」

[※3] 「ハナビラタケの免疫調整作用について」

[※4] 「ハナビラタケの美容効果について」