~よくわかる大腸がんの基礎知識~

大腸がんのステージと治療を知る
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人工肛門(ストーマ)

肛門に異常がある時に取りつける人工肛門。ここでは人工肛門の仕組みやケアの仕方について紹介しています。ストーマをつけて10年になるという方の体験談も掲載しています。

参照元:大腸癌研究会 Q&A
参照元:アルメディアWEB ストーマ・ライフ
参照元:藤田 伸、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 大腸がん』小学館クリエイティブ.
参照元:福長洋介(2016)『よくわかる最新医学 大腸がん』主婦の友社.
参照元:高橋慶一(2010)『大腸がん 手術後の生活読本』主婦と生活社.

人工肛門(ストーマ)とは

がんで肛門の排泄機能が低下した時に活躍する人工肛門。自身の腸を用いてお腹に排泄用の出口をつくります。人工肛門自体には神経がないので痛みを感じないだけでなく、腹圧のおかげでシャワー中に水が入ってくることはありません。ただし便意を感じないため、排便のコントロールができません。

専用の袋をおなかに装着して便をためる自然排便法や、腸をお湯で洗浄して、一定期間便が出ないようにする洗腸法で排泄します。人工肛門をつけているほとんどの方は、自然排便法で排泄を行なっているようです。

一時的な人工肛門(ストーマ)

直腸や肛門に炎症が起きた場合、患部を休ませるために一時的に人工肛門を取りつけるケースがあります。症状が治まり完治した後に直腸や肛門が正常に機能すれば、人工肛門を取り外すことが可能です。腸閉塞や潰瘍性(かいようせい)大腸炎などの病状の時に、一時的な人工肛門が必要となります。

永久的な人工肛門(ストーマ)

直腸がんの患者の場合、手術で肛門と大腸を切除するケースが多くあります。肛門から排泄できなくなるため、人工肛門を永久的に取りつける治療方法です。

人工肛門(ストーマ)の仕組みとケアの方法

人工肛門は腸を用いています。腸で出口がつくられており、神経がなく痛みを感じません。排泄した後のケアを行なう際、人工肛門に便がついている場合はやさしく拭き取ってよく泡立てた石鹸で洗います。石鹸が皮膚に残ると炎症を起こしたり、新しい袋が装着しにくくなったりするので、丁寧にシャワーで洗い流すことが大切です。

皮膚トラブルの対処法

装着している袋に含まれている皮膚保護剤が肌に合わず、炎症を起こすことがあります。その場合は、人工肛門に装着する袋を取り換えることで改善可能です。排泄物がたまった袋の重みで皮膚が伸びてしまうケースがあるため、袋の半分を目安に便を捨てましょう。また、ケアする時の石鹸は弱酸性で香料が少ないものがベターです。

人工肛門(ストーマ)よくあるQ&A

入浴は平気?

入浴するのに問題はありません。水が浸入することがなく、便をためる袋を装着したままでも入浴可能です。

使っているストーマ装具が合わなくなることはある?

人工肛門にくっつける袋が合わず、周辺の皮膚が炎症を起こすことがあります。その場合は、敏感肌用の袋を装着すると改善できるようです。

一時的に作られた人工肛門はそのあとどうなる?

治療している部位を経過検察して、時期がきたら人工肛門を閉鎖。それから元の肛門を通常と同じように使えるように筋肉トレーニングを行ないます。

術後のQOL(生活の質)を高めるために知っておくべきことを見る

人工肛門をつけている人に聞いた
「実際の生活、どうですか?」

Q.人工肛門(ストーマ)はいつからつけていますか?

人工肛門をつけたのは、今から10年前、僕が38歳のときでした。最初は仮設と言われていたんですが、結局色々あって、永久的につけることになりました。結論から言ってしまうと、人工肛門で良かったと思っています。ちょっと油物を多く取ると、すぐにお腹がゆるくなったり、初めて行った場所ではトイレを探すのに戸惑うこともあります。ストーマをつけていなかったら、多分何度も外で漏らしていたと思いますよ(笑)。

Q.匂いは気になりませんか?

僕のストーマは、袋で便を受け止めるポピュラーなタイプです。ちゃんと装着していれば、防臭処理がされているので匂いが漏れる心配はありません。最初の頃は、「臭いと思われているんじゃないか」「毎日袋は変えないでいいのか(週2〜3回)」と、外出のたびに不安になっていましたが、家族にも「臭くない」と言われ、安心して外出しています。今では、ストーマをつけたままボルダリングや山登りを楽しんだりしていますよ。もちろん、会社にも行っています。

Q.人工肛門(ストーマ)で困ったことはありますか?

最初のうちは、袋の取り外しがうまくできなかったりして、皮膚が荒れてしまったことがありました。でも、最初にもお話ししましたが、つけていないことで困ったであろうことよりも、つけていて困ったことは格段に少ないと思います。

強いて言うなら、意外と袋代がかさむことでしょうか(笑)。値段がまちまちなので、いろんな会社のを試して比べている方などもいらっしゃって、みなさん試行錯誤されているみたいです。ストーマをつけると身体障害者4級の認定が受けられるので、月に9,000円弱の支給、税金の控除、交通運賃の割引サービスを受けることができます。

Q.「入浴に不安を感じる」という人が多いようですが…。

わかります。僕もそうでした。でも、お湯が入ってきたり、逆流するようなことはありませんので、安心してください。温泉にも行っていますよ。もちろん、周囲の方をビックリさせたり、中には不快になる方もいると思うので、タオルで装具を隠しながら、隅の方で入浴したり、お部屋に露天風呂がついている旅館などですが…。ただ、まだまだ理解が進んでいないからか、小さい旅館では断られてしまったこともあります。

Q.「これだけは気をつけている」ということがあれば教えてください。

周りに配慮することと、災害に備えて、装具のストックは切らさないようにすることです。「習うより慣れろ」だと思います。ストーマの患者会などもありますので、うまく利用して、みなさんにいいストーマライフを送ってもらいたいです。

患者会
公益社団法人日本オストミー協会  http://www.joa-net.org/

それでも人工肛門は嫌だという人は

近年では、肛門の一部を残すISRという手術法も広く用いられるようになってきており、人工肛門がどうしてもいやだという人はうれしいでしょう。しかし、ISRは、肛門を切り取りすぎると機能が失われる反面、しっかりと切り取らないとがんが残って再発するという恐れがあり、医師の技量に左右されます。長時間トイレに行けないような環境下で仕事をする人や、肛門括約筋が弱い人は人工肛門をつけたほうがいいというケースもあります。

ISRを選択する場合は、生活習慣に気を配り、自身の免疫力を高めるようにしておくと、少しでもがんの再発・転移の可能性を下げることができるでしょう。

大腸がんの再発・転移を予防するには

免疫力を高める成分を調査

ISR参照元:日本経済新聞夕刊2013年11月1日付 日経スタイル