大腸がんの症状に関するチェックポイントを覚えておけば、大腸がんを疑う症状が現れた時にも見逃すことなく、速やかにがん検査を受けられる可能性が高まります。
国立がん研究センターがん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)」[online]
日本癌学会「市民公開講座 第22回講演4『がん予防法とがん検診―大腸がんを中心に―』」[online]
一般財団法人国債医学情報センター「直腸がん」[online]
一般財団法人国債医学情報センター「結腸がん」[online]
大腸がんは、初期症状が出にくいといわれており、言い換えれば、大腸がんの症状をはっきりと自覚できるようになれば、それはすでにがんが進行しているとも考えられます。
大腸がんのリスク因子を持つ人で、以下の症状が確認された場合は、早めに検査を受けるべきでしょう。
20代や30代という若い人では、基本的に大腸がんの心配はあまりないとされています。しかし、遺伝的にリスク因子を持っている人の中には、若くして大腸がんになったり、大腸がんを併発しやすい病気(リンチ症候群)を発症したりする可能性もあり、年1回のがん検診を受けておくことも大切です。
大腸がんが進行すれば、より明確な症状が現れやすくなります。
腸から出血することで、粘性のある便に赤い血が混じった血便は、大腸がんの患者でしばしば見られる症状の1つです。また、結腸の上部などにがんが発生し、下血している場合は、便の色が黒くなった黒色便(タール便)になることもあります。
血便であれ下血であれ、腸内の出血は排便時でなくとも持続している場合が多く、その為にやがて貧血の症状が現れることもあります。あるいは、貧血症状だけが現れることもあるでしょう。
血便や下血は、痔や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの病気でも見られますが、これらは放置しておくとがんに発展するリスクもあり、注意しなければなりません。
大腸がんが進行すると、腸の消化・吸収能力が低下して、便秘や下痢といった便通の異常が生じやすくなります。加えて、がんによって腸が狭くなることで、便が細くなったり、腸閉塞が起こりやすくなったりもします。
特に高齢者では、便秘や腸閉塞が大腸がんのサインである場合も多く、普段から気をつけておきましょう。
また、腸内環境が悪化して、腸内細菌の悪玉菌が増えてくると、ガスが発生しやすくなるだけでなく、その臭いもきつくなりがちです。
腸閉塞や腸炎が併発すると、症状の程度に応じて腹痛や嘔吐、発熱が生じます。また、大腸がんが進行すると、転移したがんにより臓器や神経が圧迫されて、腹痛や腰痛といったがん性疼痛の原因になることもあります。
尚、転移したがんによって痛みが生じている場合、必ずしも大腸がんと近い場所に痛みがあるとは限らないことも覚えておきましょう。
痔や腸炎・潰瘍、大腸ポリープ、慢性便秘などは、自覚症状が似ている為、大腸がんに間違われることも珍しくありません。
しかし、逆にいえば、これらの病気だと思っていても、実は大腸がんであったという可能性もあり、気になった場合はとりあえず検診を受けてみることが賢明です。
便潜血検査とは、血便や下血の有無を確認する検査で、大腸がんの発見に役立ちます。
便に血が混じっているからといって、それが大腸がんの証拠にはなりませんが、便潜血検査が陽性であれば、大腸内視鏡検査などより詳しい検査に進みます。