
大腸は盲腸・結腸・直腸の3つに分けることができ、これらの部位にできるがんを総じて大腸がんと呼びます。こちらのページでは大腸がんの原因についてまとめました。
参照元:高野正博, 他(2009)「肛門疾患にみられる排便障害―前編 各種肛門疾患における排便障害の特徴―」[online]https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology1967/26/1/26_1_1/_pdf/-char/ja(2018年7月25日参照)
参照元:日本消化器病学会「四国支部第23回市民公開講座 こわくないぞ!?大腸がん」[online]http://www.jsge.or.jp/citizen/2004/23shikoku.html(2018年7月25日参照)
大腸(直腸や結腸)にがんができると、がんのせいで便の通り道が塞がれて狭くなり、細い便が出るようになることがあります(便柱細小)。また、大腸がんによって腸内環境が悪化したり、消化・吸収能力に異常が生じたりして、便が細くなってしまうこともあります。
しかし、細い便が出るからといって、必ずしも大腸がんや深刻な病気とは限りません。
だからこそ、細い便が出るようになった場合は、その原因について冷静に見極めることが重要です。
肛門に痔ができたり、腸内にポリープができたりすると、便の通り道が物理的に塞がれてしまい(狭窄)、細い便が出やすくなることがあります。
このような場合、排便時に痛みを感じたり、赤い血が混じった便(鮮血便)が見られたりすることもあるでしょう。
また、痔によって便の通り道の狭窄が起きていなかったとしても、痔による嫌みや脱肛の不安などから、細い便を含む様々な排便障害を引き起こしている人も少なくありません。
この他、切れ痔を繰り返すことで肛門が硬く・狭くなっている可能性も考えられます。
大腸がんの手術や、子宮内膜症といった病気などが原因となって、大腸が体内で癒着してしまい、便の通り道に狭窄が起こってしまうこともあります。
「癒着」とは、傷口や内臓組織などが修復する際に、互いにくっついてしまう生理現象です。
癒着そのものは生理現象であり、必ずしも病気につながるとは限りませんが、癒着によって大腸がおかしな形状のままくっついてしまえば、それは便柱細小や腸閉塞などの原因になるので注意が必要です。
加齢や運動不足、病気によって、腹筋などの筋力が低下し、便を押し出す力が弱まってしまうと、細い便が出るようになってしまうことがあります。
食事の量がそもそも少なかったり、食物繊維が不足したりしてしまうと、便の量が不足してしまい、結果的に便が細くなってしまうかも知れません。
その他、運動不足によって腸の機能が低下すれば、便の状態に異常が見られる可能性もあります。
緊張や不安といった精神的ストレスによって、自律神経が乱れると、消化機能に異常が生じて、便の状態も悪くなります。
自律神経が乱れる原因としては、ストレスの他にも睡眠不足や過度な疲労、病気の副作用など様々なものが考えられるでしょう。
細い便の他にも、便の状態や症状から予想される体の異常は少なくありません。
黒い便(タール便)や、赤い血が混じっている便(鮮血便)が出る場合、胃や大腸、肛門付近から出血している可能性が非常に高いといえるでしょう。
出血の原因は、痔や腸炎、大腸がんなど複数のものが挙げられます。
細い便だけでなく、ころころとウサギの糞のような便が出ることもあります。このような場合、水分や食物繊維の不足、腸内環境の悪化、慢性的な便秘などの可能性を考慮する必要があるでしょう。
どろどろの便や液状の便といった下痢の他にも、形はあるものの崩れやすい軟便など、便の硬さが非常に柔らかくなることがあります。下痢は水分の撮りすぎで起こることもありますが、大腸での水分吸収能力が低下している可能性もあります。
また、下痢が続くと、脱水症状を起こすこともあるので、気をつけなければなりません。
排便をしても、まだ便がお腹の中に残っているように感じたり、肛門付近に留まっているように感じたりと、残便感があることもあります。
便秘や下痢、腸炎、腸閉塞、ストレスなど、腹痛の原因は少なくありません。しかし、その痛みが強かったり、嘔吐感を伴っていたりする場合は、直ちに病院で診察を受けることが賢明です。
大腸がんや過敏性腸症候群といった病気では、便秘と下痢を繰り返すことも珍しくありません。
腸内環境が悪化して、腸内細菌(悪玉菌)が増えると、ガスが出やすくなります。
ガスの原因は、腸内環境の悪化だけでなく、食事中に空気を一緒に飲み込んでしまうなど、色々とありますが、特にガスの臭いがきつくなっている場合、腸内環境の悪化が疑われる為に注意しましょう。
排便回数が明らかに増える場合、下痢を起こしていたり、消化不良が起きていたりする可能性が高い為、一度に出る便の量や形状について観察することが大切です。
便の状態は、食事内容や体調不良によって簡単に変化します。その為、便に異常が見られた場合、すぐに病気だと不安を抱えるのでなく、まずは落ち着いて便や体の状態を観察するようにしましょう。
数週間から一ヶ月以上も異常が続くようであれば、早めに病院で診察を受けるべきかも知れません。
受診する病院を探す際は、消化器科・胃腸科・肛門科などがある病院を選ぶようにしましょう。
尚、消化器科・胃腸科では基本的に大腸や消化器官全体を診て、肛門科は直腸から肛門付近について診察します。
便に血が混じっているかを調べる便潜血検査や、指を使った直腸の触診は検査の代表例です。この他、内視鏡によって腸の内部を確認したり、バリウムを腸内に流し込んだ上で行う注腸X線検査がなされたりすることもあるでしょう。
外科的手術、投薬治療、食事療法、運動療法など、治療方法は原因や症状によって様々です。
その為、まずは原因を正しく明らかにすることが必要です。
大腸がんや腸ポリープといったものが原因の場合、自力で改善することは難しいかも知れません。
しかし、ビタミンや食物繊維が豊富な食事を適切に摂るようにしたり、日常生活の中に適度な運動習慣を取り入れたりすることで、腸内環境の改善を目指すことが可能です。
また、趣味の時間や休息を大切にして、ストレスを上手に解消することも大切です。