リンパ節に大腸がんが転移した場合の症状や治療法を紹介しています。
参照元:藤田 伸、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 大腸がん』小学館クリエイティブ.
参照元:福長洋介(2016)『よくわかる最新医学 大腸がん』主婦の友社.
参照元:高橋慶一(2010)『大腸がん 手術後の生活読本』主婦と生活社.
リンパ管は大腸壁内に網目状に分布し、病原体が混じった場合に排除する、いわばろ過装置の役割を果たします。そのため、がんの進行によってがん細胞が管内のリンパ液に混じり、別のリンパ節・臓器に運ばれる危険も。リンパ節はリンパ管の合流地点で、腹部・足の付け根・首・わきの下・腕など全身に多数存在。がん細胞もこのリンパ節にせき止められて増殖することがあります。一般に転移が見つかるのは、比較的がんの原発巣近くにあったリンパ節です。大腸がんの場合、腹部大動脈周りのリンパ節や足の付け根など、下半身をめぐるリンパ節に転移が見つかるケースがありますが、離れたリンパ節に転移が見つかる場合もあります。
腹部大動脈リンパ節に転移した場合
お腹の深い場所にある腹部大動脈リンパ節に転移した場合、がん病巣がしこりになっても表面からふれることはできません。かなり進行した時に病巣が脊髄などを圧迫し、背中の痛みが起きることがあります。
鼠径リンパ節・首・わきの下に転移した場合
足にめぐる鼠径リンパ節に転移した場合は、進行するとしこりが現れ、触れる場合もあります。また、がんによってリンパ液の流れがせき止められるため、足にリンパ液が溜まってむくむことも。首やわきの下などのリンパ節に転移した場合も同様に、進行するとむくみが起こりやすくなります。
切除手術
大腸がんの根治手術では、がん発見後、近くにあるリンパ節を切除するのが基本です。原発巣の近くのリンパ節は、最初行う手術で原発がん病巣とともに切除していきます。ここで完全にがんを切除できれば、治癒の可能性が高まります。
全身化学療法
離れたリンパ節へのがん転移が疑われる場合、各種画像検査・血液検査・リンパ液検査などを行います。転移したリンパ節が多数あり、各所の切除が困難な場合は、全身化学療法を用いてがんを治療します。全身化学療法は3種類以上の抗がん剤を使用することが多いです。
当然のことなのですが、術後5年間は欠かさず定期検診を受けることで、万が一の早期発見に努めましょう。また、生活習慣などによって転移の確率を下げることができます。別ページに予防法をまとめていますので、参考にしてください。