
患者の身体にかかる負担が少ない免疫療法。ここでは免疫療法の流れや注意点について紹介しています。
誰でも備えている免疫力を高めてがん治療を行なう免疫療法。免疫力とは、体内に入ってきたウイルスを攻撃・排除する身体の機能です。初期のがん細胞の場合だと、体内にあるNK(ナチュラルキラー)細胞が排除するのですが、がん細胞が増殖するとNK細胞の数が足りなくなります。するとがんが進行してしまうので、免疫療法でNK細胞の数を増やしてがん細胞を排除するのです。自分がもともと持っている免疫力を高める治療方法のため、副作用が少なく患者の身体にかかる負担を軽減できます。また、抗がん剤の投与で弱った免疫力を取り戻す治療としても効果的な方法です。
免疫療法にはいろんな手法がありますので、その一例をご紹介します。
1:自分の体内にあるNK細胞を取り出す
特殊な機器で遠心分離できるアフェレーシス(成分採血)を行ないます。遠心力で赤血球やリンパ球などを細かく分離するため、特定の成分だけを採血することが可能です。
2:人工的にNK細胞を増殖
治療回数や採血量が多くなると時間がかかりますが、採取したNK細胞を2~4週間ほどかけて培養します。
3:増殖したNK細胞を体内へ戻す
増殖・活性化したNK細胞を点滴で体内へ戻すと、体内の異物であるがん細胞を攻撃することができるのです。
どうしても人工肛門が嫌で手術を拒否
68歳のときに、大腸がんステージ3と言われ、しかもがんが直腸にできていたので「人工肛門を造ります」と医師から無慈悲な宣告。残りの人生を考え、どうしても人工肛門がいやだったので、友人に紹介された免疫療法をやっているクリニックに足を運びました。そこの先生は西洋医学を否定せずに、どちらも併用してやっていきましょうね、というスタンスでした。でも、2つ目の病院でも人工肛門を突きつけられ、もう死んでもいいやという気持ちで免疫療法だけをやってきました。月に20万ほどかかりましたが、半年もすると、がんが小さくなっていて、3年たった今でも元気に生きています。運がよかったんでしょうか。(73歳・女性)
治らなかったけど気分転換にはなった?
父がステージ4、もう切ることもできずに抗がん剤による延命しかできませんと言われ、藁にもすがる思いで免疫療法に手を出しました。結局余命と言われていた3ヶ月より、少し長い4ヶ月生きることができました。その1ヶ月分の効果があったのかはわかりませんが、弱っても人と話したがったおしゃべり好きの父にとって、クリニックの若くてかわいらしいナースの方々とお話しするのが、いいガス抜きになっていたようでした(笑)。(女性)
代替医療は全てががん治療に効果的だとは言えません。医学には絶対がなく、患者1人ひとりの体に合う治療方法は異なります。「必ず治るがん治療」「がんの完治」などの言葉を使って、患者や家族の「がんを治したい」という気持ちにつけ込むような代替医療も少なくありません。
過去には免疫細胞を培養する施設が国の安全基準を満たしていなかったため、厚生労働省が治療の一時停止を命じるといったこともありました。代替医療を受ける際には十分に情報収集をして、慎重に検討した上で取り入れることをおすすめします。