
大腸がんの1つ・直腸がんの症状や再発率などを詳しく解説します。
参照元:藤田 伸、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 大腸がん』小学館クリエイティブ.
参照元:福長洋介(2016)『よくわかる最新医学 大腸がん』主婦の友社.
大腸を構成する部位の上部直腸・下部直腸にできる直腸がん。大腸がんの中でも比較的発見がしやすいがんです。初期症状では肛門からの出血があります。しかし痔だと思われることも多く、直腸がんだと気づかれずに見過ごされることも。
直腸は骨盤に収まっており、生殖器や血管、自律神経などが隣り合っています。がんを大きく取り除くことが難しいため、再発のリスクが高まる可能性も。血便や腹部の異常を感じた場合は病院へ受診するようにしましょう。直腸がんは早期発見で治るがんと言われています。定期的に診断を受けて、がんの早期発見に役立てると良いでしょう。
直腸がんを含めた大腸がんの再発リスクはほかのがんと比べて17%と低いため、再発しにくいと言われています。しかし、直腸がんを患った場合は24.3%と約7%発症リスクが上昇。こちらの項目では直腸がんを原発巣(最初にがんが発生した場所)とした、部位別のがん再発率についてお伝えします。
肝臓 | 7.3% |
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肺 | 7.5% |
局所(同じ箇所) | 8.8% |
吻合部(臓器を縫い合わせた部分) | 0.8% |
その他 | 4.2% |
全体 | 24.3% |
参照元:藤田 伸、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 大腸がん』小学館クリエイティブ.
直腸がんの再発リスクが高まる要因としては、直腸がほかの臓器や血管、神経などが集中する骨盤内にあることが挙げられます。骨盤自体が狭いため、がんを大きく切除できずにがん細胞が残ってしまうことも。そのため局所や骨盤内での再発が起こりやすくなってしまうのです。
直腸がんと疑われる症状として、以下が挙げられます。
直腸がんは肛門に近い部分にできることもあり、便の異常で発見しやすいようです。しかし、異常が出始めた頃にはがんが進行している可能性もあります。少しでも気になることがあれば早めに病院へ受診しましょう。
大腸の粘膜にがんが留まっている状態です。内視鏡治療でがんを取り除きます。
がんが固有筋層までがんが広がっている場合に指定されるステージです。内視鏡治療か外科手術によってがんを取り除きます。
がんが粘膜の外側にある固有筋層に浸潤している場合のステージです。顕微鏡治療か外科手術でがんを取り除きますが、進行度によっては腸管とともにリンパ節を切除することもあります。
がんがリンパ節に転移している場合のステージです。腸管・リンパ節の切除後、抗がん剤治療を受ける必要があります。
肝臓や肺、腹膜にがんが転移している場合のステージです。転移したがんが切除可能であれば手術を行ないますが、手術が難しい場合は抗がん剤治療や放射線治療などで治療を進めます。
「直腸がんになると人工肛門が必要」と思っている人もいるようですが、最近では直腸がんの8割の手術で肛門と肛門括約筋を残してがんの切除をするケースが増えています。ただ、高齢者や肛門のすぐ近くにがんが発症している人の場合は、人工肛門を作ったほうが生活の質を示すQOL(生活の質)が高まることも。人工肛門について詳しく解説したページもありますので、よければご覧ください。