
健康補助食品として人気のあるアガリクスについてリサーチしました。特徴から研究結果、注意点についてもまとめています。
アガリクスはキノコの仲間です。和名では「カワリハラタケ」「ヒメマツタケ」、学名では「アガリクス・ブラゼイ・ムリル(Agaricus subrufescens)」と呼ばれています。1800年代の後半ごろから薬用キノコとして使われていたようです。
1960年にアメリカ・ペンシルバニア州立大学教授のシンデン博士とランバート研究所のランバート博士がアガリクスに注目しました。それはアガリクス茸が自生しているブラジルサンパウロ州ピエダーテ地方の住民が長寿だったからです。調査したところ、住民が常食しているアガリクス茸が影響してると考えたのです。
成分を調べてみるとアガリクス茸には、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれていることがわかりました。そのなかでも最も注目されているのが、他のキノコに比べて豊富に含まれている「βグルカン」です。βグルカンは、腸内の免疫細胞に直接働きかけてくれる食物繊維。アレルギー予防や改善効果に期待できる成分で、強力な免疫アップ効果もあるのだとか。「健康維持」に大きな期待ができるとされ、世界で研究が進んでいます。
栄養価が豊富に含まれており、免疫力を高めてくれるアガリクスは、がん(抗腫瘍)に対してどのような影響を与えるのでしょうか。ここでは、研究結果をいくつかピックアップしました。
アガリクスから抽出された分子量の小さい成分には、高いがん予防効果が確認されています。化学療法施行中にアガリクスを摂取した、がん患者の QOL(クオリティ・オブ・ライフ) の改善が見られました。がん化学療法とアガリクス摂取を組み合わせることで、相乗的にがん化学療法の結果を高める可能性が推測されるそうです。
アガリクスの抗がん効果と放射線防護の有無を調べるための実験を行ない、抗酸化作用やSOD(Superoxide Dismutase)活性作用、免疫活性などを調べました。マウスにがん細胞を移植して、毎日アガリクスを投与した結果、免疫の活性によってがん細胞の分裂・増殖を抑制するという結果が得られたそうです。
マウスを使った実験でアガリクス抽出物を投与した結果、免疫細胞であるT細胞の割合が増加を示しました。この結果からアガリクスには免疫活性化の作用があると示唆されています。
アガリクスがNK(ナチュラルキラー)細胞へどのような影響を与えるかを調べました。研究結果を以下にまとめています。
子宮がん・卵巣がんで抗がん剤治療を受けている女性患者100名にアガリクスを摂取させた実験で、NK細胞の活性化が確認されました。同時に抗がん剤の副作用である食欲不振や脱毛、全身脱力感などが軽減。この研究結果よってアガリクスは、がん治療に対する有効性が示唆されたのです。
NK細胞をはじめマクロファージの活性化させる働きをするβグルカン。腸管免疫に対する作用や抗腫瘍作用、腸管粘膜保護作用なども報告されています。
アガリクスが樹状細胞へどのような影響を与えるかに関する研究結果は見つかりませんでした。 樹状細胞は1973年に米国のラルフ・スタインマン氏らにより発見された細胞。身体に侵入してきた細菌やウィルスを取り込む性質があります。
アガリクスを摂取することでどのような効果が現れるのかを調べました。
アガリクスに含まれるβグルカンは免疫力を高めてくれます。免疫力を高めることで病気を未然に防ぐことに繋がるでしょう。
アガリクスは豊富な食物繊維を含んでいるため、摂取することでコレステロール値の上昇を抑制する効果があります。食物繊維がコレステロールを腸管内で吸着させ、体内に吸収されるのを防ぎ、外へ排泄させます。そうすることで悪玉(LDL)コレステロールを減少させることで、肥満を改善する効果が得られるのです。
キノコ類にもタンパク質が含まれています。キノコアレルギーの方がアガリクスを摂取すると「湿疹」「じんましん」「皮膚のかゆみ」「鼻水や鼻詰まり」「目のかゆみ」「目の充血」「のどの痛み」「咳」「息苦しさ」「発熱」など症状が出ることも。摂取してからから2時間以内に現れるのが一般的です。軽度なら数時間で収まりますが、アレルギー反応が強く出た場合は病院を受診しましょう。
アガリクスには食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整えてくれます。しかし、摂り過ぎてしまうと腸内環境を乱してしまうことも。万が一アガリクスを摂り始めて下痢や腹痛の症状が出た場合は、摂取量を半分にして様子をみるなどするといいでしょう。
[※1] 「アガリクス・ブラゼイ・ムリル製剤における複合的がん予防効能及び安全性研究の現状」
[※2] 「各種アガリクスに対する免疫増強、抗酸化作用および抗がん効果の比較研究」
[※3] 「Polysaccharides from Agaricus blazei stimulate lymphocyte T-cell subsets in mice.」
[※5] 「腸管免疫に対する β グルカン及び乳酸菌の効果」