
肺に大腸がんが転移した場合の症状や治療法を紹介しています。
参照元:藤田 伸、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 大腸がん』小学館クリエイティブ.
参照元:福長洋介(2016)『よくわかる最新医学 大腸がん』主婦の友社.
参照元:高橋慶一(2010)『大腸がん 手術後の生活読本』主婦と生活社.
肺転移は肝転移の次によく見られるケースです。肺は呼吸で取り入れた酸素を全身に送る臓器。肺の末梢にある肺胞は、酸素の運搬役をする血液が集まる器官。そのため、肺胞にがん細胞が引っかかって、肝臓の場合と同様に血行性転移が起こりやすくなります。
肺へ転移した場合、目立った初期症状はありません。しかし肺胞にがん病巣ができるため、進行すると呼吸に関係する様々な症状が現れます。例えば、せきや痰が多くなり、呼吸器官の粘膜が侵食され血痰が出ることもあります。進行が悪化すると、肺によるがん病巣の増大によって気管支・気管が圧迫され、狭窄や閉塞が生じることも。そのため、息苦しさを感じたり、ゆっくり寝ることも困難になります。
肺転移が疑われた場合、症状や進度別に3つの治療法を行います。まず臓器を切開・切除する切除手術、抗がん剤を投与する化学放射線療法、がんを直接焼くことで治療する熱凝固法があります。
肺の切除手術には部分切除・一側肺全切除・肺葉切除の3例があります。切除した際完全にがんを取り除けることができれば、治癒できる可能性があります。初めての再発で肺だけに転移していた場合、手術で切除した患者の5年生存率は約40%というデータも。しかし肺には再生能力がないので、治療後の肺に再発が確認された場合に、さらなる切除によって肺機能を維持できないと判断されると、切除手術ができない場合があります。
肺機能やがんの規模などが理由で切除手術が行えない場合には、複数の抗がん剤を用いて全身化学療法を行うのが一般的です。ここで用いる抗がん剤は、原発巣が肺がんである場合の肺がん治療に用いられるものと異なります。あくまでも大腸がん由来なので、大腸がん用の抗がん剤を使用する必要があります。
臓器にがんが転移し、患部を切開できない場合に用いられる治療法です。がんの正確な位置を検査で特定し、皮膚の上から特殊な針を刺し、電磁波を通してがんを焼きます。肺転移の場合、高周波電流を流すラジオ波をよく用います。
肺への転移を早期発見するには、定期検診を欠かさないことが何よりも重要。そのほかにも、生活習慣などによって転移の確率を下げることができます。別ページに予防法をまとめていますので、参考にしてください。