多くのがん治療で、抗がん剤が使用されます。抗がん剤は、がん細胞の増加を抑える効果が期待できますが、同時にさまざまな副作用があります。副作用の中でも、代表的な抜け毛についてご紹介します。
参照元:国立がん研究センターがん情報サービス:(https://ganjoho.jp/public/index.html)
がん患者の髪が抜けやすくなるのは、抗がん剤治療や放射線治療によるものです。
抗がん剤治療における抜け毛の特徴として、髪に限らず全身の毛が抜ける可能性があることです。
抗がん剤治療は抜け毛の発生や量などは個人差があり、使用する薬によっても変わってきます。
抜け毛が起きやすい薬にはアドリアマイシン、イフォスファミド、エトポシド、サイクロホスファマイド、シスプラチン、パクリタキセル、ビンクリスチン、ビンデシン、ファルモルビシン、ブレオマイシン、メソトレキセートなど。
抗がん剤による抜け毛は一時的なもので、治療が終わるとまた毛は生え始めます。
抗がん剤による脱毛がなぜ起きるのかは判明していませんが、がん細胞の増殖を抑制する働きがあることは証明されています。このがん細胞の増殖を抑制する力が強すぎて、毛の成長を促す毛母細胞にまで影響を及ぼすことで抜け毛が起こると考えられているのです。毛母細胞は毛のもとになる細胞で、増殖したり栄養を毛に届けたりすることで毛が成長。
抗がん剤治療を行なうと毛母細胞の増殖や栄養を運ぶ働きまでも阻害し、毛が成長しなくなるどころか細くて抜けやすい毛になってしまうのです。
そのため、髪をなでたり櫛でとかしたりするだけで毛が抜けてしまいます。
抗がん剤による髪の抜け方には、個人差があります。髪の毛が抜けるのは、抗がん剤を投与してから2~3週間後に起こることが多いです。それは体毛や眉毛など、髪以外の部位でも同様。抗がん剤治療による抜け毛の多くは、治療が終われば3~6ヵ月後には再び生えてくるので、気落ちせずに治療を続けましょう。
また抗がん剤の種類によっては、髪が抜けるものと抜けないものがあるので、治療を受ける前に医師に相談することで、抜け毛を防ぐことができる可能性があります。
抗がん剤による抜け毛は、科学的に証明された予防法がありません。これまで頭髪に対しては、頭を冷やすという方法が試されてきましたが、有効性が証明されていないので現在は行なわれていないケースがほとんどです。
ここでは抜け毛の中でも患者の精神的ストレスの大きい、髪の抜け毛対策方法についてまとめてみました。
抗がん剤治療での抜け毛は100%ではありませんが、高い確率で起こります。対策しておけば、万が一髪が抜けてもショックが少なくて済むでしょう。
抗がん剤による抜け毛は、急に起こるケースが多いです。急激な髪の変化は、大きなストレスを与えます。あらかじめかつらや帽子などを準備して日頃から使用することで、心の準備をしておくと良いでしょう。
髪をあらかじめ短くしておくと、万が一髪が抜けたときに処理しやすいです。あらかじめ髪を剃っておくのも選択として良いでしょう。髪が抜けたときのショックとしては、見た目の急激な変化が大きいです。髪が短いと変化が小さいので、精神的な負担を減らせます。
髪への負担は抜け毛を促進させるので、なるべく柔らかいヘアブラシやドライヤーの温度を低めにして使用しましょう。さらに、髪の毛の負担が大きいパーマやカラーリングは、医師の許可が出るまでは避けてください。
抗がん剤治療中は、これまで以上に頭皮を清潔に保ちましょう。髪が抜けると、頭皮は刺激を受けやすくなります。また体の免疫力が落ちてしまい、少しの傷でも感染症に繋がりやすい状態が起こるのです。髪を洗う回数を増やす必要はありませんが、これまでと同じ程度に洗髪したほうが良いでしょう。