
日常的な食材として、特に気にすることもなく食べているトマト。体に良いということは噂で聞いたことがあるものの、どんな成分がどんな効果を持つのかについて、詳しくは知らないという人も少なくないでしょう。トマトに含まれる成分には様々なものがありますが、特に注目すべきはリコピン。強い抗酸化作用、脂肪の蓄積を抑える作用などで知られる成分ですが、最近では、特定の種類のがんの予防・抑制効果も持つとの研究報告が注目されています。
トマトとは、ナス科ナス属に属する植物。南アメリカのアンデス山脈を原産としています。現在はアンデス山脈ですが、もちろんご存知の通り、今や世界中のいたるところで栽培されている植物でもあります。特にイタリア料理には欠かせない食材として知られています。 トマトが日本に伝来したのは江戸時代。著名な画家であった狩野探幽が、「唐なすび」というタイトルで1668年に描いていることからも、すでにその当時にはトマトが日本でも一般的だったことが分かります。 ただし、その当時は、日本におけるトマトは観賞用だった模様。食材として利用されるようになったのは、明治後半からと言われています。
トマトが赤くなると医者が青くなる、という言葉がある通り、トマトには様々な成分・期待される効果があります。
トマトの成分を代表するのがリコピン。強い抗酸化作用、脂肪の蓄積を抑える作用、メラニン色素の生成を抑制する作用などがあると言われています。各種の病気予防効果や美容効果が期待できます。
トマトに豊富に含まれるカリウムには、体内にたまったナトリウムの排出を促す働きがあります。高血圧の予防・改善に効果が期待されます。
ペクチンとは、食物繊維の一種。便秘の解消効果や美容効果、免疫力向上作用などが期待できます。
トマトに豊富に含まれるリコピンやβカロテンには、がん抑制効果があると言われています。 アメリカのがん学会では、トマトを多く食べる人において、特定の種類のがんの発症が抑えられるとの報告がなされました。特に前立腺がん、肺がん、胃がんの発症リスクが低下するとのこと。トマトに含まれるリコピンの作用が一因ではないか、との結論が導かれています。
別の研究報告では、トマトに乳がんの発症リスクを低下させる働きがあるとしています。トマトに豊富に含まれるリコピンとβカロテンの作用ではないか、との結論です。 トマトが持つがん抑制作用については、まだまだ研究途上。今後の研究の進展に期待していきましょう。
一説では、がんの「予防」のためにトマトを摂取する場合、1日につき大玉2個(トマトジュースならコップ一杯程度)が必要とされます。また、がんの「抑制」のためにトマトを摂取する場合は、その2倍程度が必要とされています。 決して無理な量ではないのですが、毎日トマト大玉を2~4個食べるのは、少々現実的ではないかも知れません。 丸ごとのトマトを食べるだけではなく、サラダや炒め物に利用したり、あるいはトマトケチャップを利用したりするなどして、日常の至るところでトマトを摂取する機会を増やしたいものです。