大腸がんが再発する兆候にはどんなものがあるでしょうか。このページでは、どんなときにがんの再発が発見されるかをはじめ、再発する人の割合や発症場所、術後のフォローアップを解説しています。大腸がんの再発を防ぎたい人は、ぜひご一読ください。
参照元:青森県がん情報サービス 再発・転移 / 再発・転移の発見
参照元:国立がん研究センター 大腸がん(結腸がん・直腸がん)
参照元:たまプラーザ南口胃腸内科クリニック 苦しくない無痛内視鏡検査(胃カメラ)の特徴
参照元:済生会広島病院 大腸がんについて
参照元:株式会社ヤクルト本社 再発を防ぐには?大腸がんはどのように再発する?
参照元:大腸癌研究会 大腸癌治療ガイドライン
大腸がんの再発は、症状があらわれてから発見されるよりも、手術後に受ける定期的な検査で発見されるケースがほとんどです。適切な治療を受けて治ったと思っていても、小さながんが隠れて残っていると月日とともに大きくなり、再発と診断されることがあります。再発の場合、問診や診察、症状が出ているだけでは早期の発見が難しいため、定期検査が必要です。
内視鏡治療の後は大腸内視鏡検査が行われます。親指の第一関節ほどの大きさのカメラで、お尻から挿入して腫瘍がないか見ていく検査です。検査前にお腹の中を空にする必要があるので、食事制限や下剤の服用などが行われます。カメラは昔と違って小型化しているため、挿入による痛みはほとんどありません。
手術後は、切除した大腸がんのステージによっても変わりますが、3ヶ月ごとの血液検査、6ヶ月ごとのCT検査・腹部超音波検査が行われます。CT検査は体の周囲にX線を当てて、体の断面図を撮影する検査です。コンピューターで体をモニターに映し出すので、再発がないか詳しく調べられます。腹部超音波検査は、超音波を腹部に当てて断面を見る検査です。超音波が体の中で反射する様子から、再発がないかを確認します。がんの再発が発見されなくても、5年間は定期検査が必要になります。
採血して、血液中に腫瘍がないかを調べる検査です。大腸がんにはCEA、CA19-9といった腫瘍マーカーが使われます。原発性のがんに結果を示すことが少なく、どちらかというと再発の早期発見に有効です。ただし、進行したがんでないと正常値を示さないことが多く、がんの再発を見逃さないための検査には向いていません。
分裂が盛んに行われるがん細胞は、正常細胞に比べてエネルギー源のブドウ糖を多く取り込む性質があります。この性質を利用してブドウ糖に似た物質を体内に注射することで、がん細胞に目印をつけることが可能です。ブドウ糖が集中している部位を黒い影として確認できるので、がんが体のどこにあるのか、大きさはどのくらいかが分かります。他の検査では分かりにくかった再発箇所を調べるのに有効です。検査前の6時間は食事制限があります。ブドウ糖に似た薬剤を注射した後すぐは動けません。目、またはのどの筋肉にブドウ糖が集まるとがんを見落とす可能性があるため、45~60分ほどの安静が必要です。
がんの進行度によって大腸がんを再発する人の割合が変わってきます。平成26年度の日本赤十字病院の大腸がんのデーターベースによると、ステージ1の再発率が4%なのに対し、ステージ2は13%、ステージ3では30%に増加。ステージが上がると、再発率も上昇することが分かります。また、再発した人の80%ほどは術後3年以内、95%の人は5年以内に見つかり、5年を過ぎてから再発する人は1%未満のようです。
ステージ3になると、治療は手術と同時に抗がん剤治療も行われます。緩和目的としても有効です。限られた期間における生活の質(QOL)の向上に役立つと考えらえています。抗がん剤治療は日々進化を遂げていて、再発した大腸がん患者の生存率は右肩上がりです。2007年に認可された分子標的薬の併用により、再発した大腸がん患者の生存期間の平均は、1年未満から3年に届くところにきています。分子標的薬として使用される薬剤は、ベバシズマブ(アバスチン)やラムシルマブ(サイラムザ)など。一般的な抗がん剤に比べて、吐き気や嘔吐などの副作用は少ないですが、高血圧や蛋白尿、鼻からの出血が見られます。
大腸がんであった場合は、もともとあった部分での再発が約10%の割合で起こるとされています。局所再発とは、取り除いた直腸の近くに起こる再発のこと。直腸は骨盤が取り囲んでいるため、手術でがんの周囲を広く切除するのが難しい部位です。
肝臓に転移が見られた場合の治療には、手術のほかに全身化学療法、熱凝固療法があります。手術は、「転移している部分の腫瘍がすべて切除可能」「切除した後も肝臓の機能が保たれる」「手術に耐えられる」といった場合に実施されます。肝臓に転移したがんを切除した後の5年生存率は20~50%。
全身化学療法は、肝臓のがんが手術で取り切れない場合や、肝臓以外にも転移がある場合に選択される治療法です。
熱凝固療法は、転移した肝臓の腫瘍に針を刺して熱を発生させ、がんを固めて死滅させます。
がんが肺に転移した場合には、手術と化学療法が用いられます。手術は、転移した部分をすべて切除する方法。手術後の生活に必要な大きさの肺が残り、手術に耐えられる場合に選択できます。肺転移を切除した後の5年生存率は30~50%。化学療法は、肺転移が手術で取り切れない場合、または肺以外に転移が見られる場合に行われます。
大腸の外側の表面を覆っている膜のことを腹膜と呼びます。大腸だけでなく、腹部全体を覆っている膜です。大腸に発生したがんの細胞が腹膜に転移すると、腹部のいたるところに広がります。切除の有効性は証明されていませんが、抗がん剤治療を行った後に切除する場合もあるようです。
大腸がんを切除した後は、少なくとも術後より5年間の経過観察が必要です。手術を行った後の2~3年は3ヶ月ごとの検診を、3年経った後は6ヶ月ごとに検診を受けて、がんが再発していないか確かめましょう。再発が発見された際は、局所再発や肝臓・肺への転移、腹膜への転移などが疑われます。
大腸がんが再発するときの兆候としてよく見られるのが、定期検査による発見です。定期検査には大腸内視鏡検査やPET検査、腫瘍マーカー(血液検査)などがあります。再発時に高い効果を発揮する検査もあるので、大腸がんの治療が終わっても3~5年は定期検査をきちんと受けましょう。
大腸がんが再発する人の割合は、ステージ1だと4%ですが、ステージが上がるにつれて増加。ステージ3では30%の再発率になっています。もともとがんのあった場所や肝、肺、腹膜への転移などは再発に多い部位なので、特に注意して診てもらうようにしましょう。
大腸がんの再発は自分では発見しにくいので、定期検査を受けることが大切です。