
家庭の常備野菜の定番と言えば、どんな家庭でも、筆頭は玉ねぎでしょう。保存性の高さ、料理における汎用性の広さ、加熱したときの特有の甘み、様々な健康効果など、玉ねぎは多くの特徴を持つ優秀な野菜です。ところで、玉ねぎの健康効果と言えば「血液サラサラ効果」が有名ですが、昨今、玉ねぎに含まれるケルセチンという成分に、大腸がんを抑制する働きがあるとされて話題です。玉ねぎと大腸がん抑制との関係について、詳しくまとめました。
玉ねぎとは、ネギ属の多年草。球根部分は食用として世界中で利用されています。特有の辛みや風味、また、熱した時の甘みなどが特徴です。
玉ねぎの原産は中央アジアとされていますが、野生種は発見されていません。すでに紀元前には、エジプト王朝で日常的に食されていたとされるため、かなり古くから人類の食卓に存在していたことは確実です。
日本に玉ねぎが伝来した時期は、江戸時代。当初は観賞用の植物でしたが、明治期に入ってからは食用として利用されるようになりました。
玉ねぎには、様々な栄養成分が豊富に含まれています。それら成分の中に、昨今、大腸がんの抑制効果を持つものがあるとして話題になりました。
玉ねぎに栄養が豊富に含まれていることは、すでに周知の通り。中でも特に多く含まれる成分と、それぞれの効果について簡単に見てみましょう。
腸内環境を整えて、便美解消効果や美容効果をもたらすと言われています。
体内のエネルギーを作り出す際に欠かせない成分。疲労回復効果や美容効果、精神に対する作用など、様々な働きがあります。
強い抗酸化作用を持つ成分。各種の病気の予防効果やアンチエイジング効果などがあると言われています。
骨の形成に欠かせない成分。精神面の安定にも作用すると言われています。
赤血球のヘモグロビンの材料となる成分。ヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ役割を持っています。
体内の塩分濃度を調整する働きがあります。血圧を下げる作用があり。
強力な抗酸化作用がある成分。悪玉コレステロールの酸化を抑制したり、動脈硬化を予防したりする働きがあるとされます。最近では、大腸がんの抑制作用もあると報告されました。
上で紹介したケルセチン。カナダ・ゲルフ大学の研究グループは、ケルセチンに大腸がんのアポトーシスを促す働きがあると発表しました。ケルセチンとは、ポリフェノールの一種。数あるポリフェノールの中でも、特に強い抗酸化作用を持つことで知られている成分です。
研究グループは、人間の大腸がんの細胞を培養した容器の中に、5種類の玉ねぎから抽出したケルセチンをそれぞれ投入。いずれの容器でも、がん細胞のアポトーシス(自死)を誘導していることを確認した。中でも特に、色の濃い玉ねぎ(赤玉ねぎ)の誘導作用が強かったと言います。
ケルセチンがアポトーシスを誘導したメカニズムについて、研究グループは「不明」としています。また、大腸がんだけではなく、乳がんへの作用の可能性もあると報告しています。
玉ねぎは、様々な料理のベースとして広く使われています。カレーライスのベースとし、チャーハンのベースとして、等々。これら普通の利用法を続けながら、また別の玉ねぎの利用法も考えてみましょう。以下、玉ねぎのお勧め料理です。
玉ねぎをスライスしてお酢に浸け、一晩冷蔵庫で眠らせて完成。お酢の健康効果も加わったヘルシーな一品が食卓を飾ります。お酢の種類は何でも大丈夫。りんご酢など、お好みのお酢を使用してください。
玉ねぎを1/2個ほどスライスしてから、30分ほど置いて辛みを飛ばします。これに無糖ヨーグルトと塩を小さじ1/2ほどを混ぜて完成。便秘解消効果免疫力アップ効果などがあると言われています。
[※1] 西村和彦,松本理沙,中川博史『ケルセチンがHepG2細胞のエリスロポエチン産生とアポトーシス誘導に及ぼす影響』