
このページでは、日本国内のがんの罹患数と死亡数の傾向をはじめ、手術と生存率の関係や抗がん剤のメリットとデメリットを解説しています。
参照元:藤田 伸、島田安博(2011)『国立がん研究センターのがんの本 大腸がん』小学館クリエイティブ.
参照元:福長洋介(2016)『よくわかる最新医学 大腸がん』主婦の友社.
参照元:高橋慶一(2010)『大腸がん 手術後の生活読本』主婦と生活社.
国立がん研究センターが発表したがんの死亡数や罹患数の推移によると、がんによって死亡した人は高齢化を原因に増え続けています。2015年の死亡数は、1985年の約2倍です。しかし、高齢化という年齢構成の変化の影響を除くと、死亡率は男女ともに1990年代半ばから減少しています。 がんにかかった人数も調べたところ、男女ともに1985年から増加しており、2012年の罹患数は1985年の約2.5倍。罹患数の増加の主な原因も、高齢化が考えられます。高齢化の影響を除いた場合でも、1980年代から増加傾向にあるのです。 この結果を大腸がんだけで見たところ、死亡率・罹患率は男女ともに横ばいで、増加も減少もしていません。
国立がん研究センターが発表したがんの死亡数や罹患数の推移によると、がんによって死亡した人は高齢化を原因に増え続けています。2015年の死亡数は、1985年の約2倍です。しかし、高齢化という年齢構成の変化の影響を除くと、死亡率は男女ともに1990年代半ばから減少しています。 がんにかかった人数も調べたところ、男女ともに1985年から増加しており、2012年の罹患数は1985年の約2.5倍。罹患数の増加の主な原因も、高齢化が考えられます。高齢化の影響を除いた場合でも、1980年代から増加傾向にあるのです。 この結果を大腸がんだけで見たところ、死亡率・罹患率は男女ともに横ばいで、増加も減少もしていません。
この結果から、罹患率は増加傾向にありますが、死亡率は減少していることが分かります。政府は、2006年に「がん対策基本法」を成立させる対策も。この法律に基づいた「がん対策推進基本計画」では、75歳未満の死亡率を10年間で20%削減することを目標にしています。2005年から2015年の10年間で、75歳未満の死亡率は15.6%減少しており、がんの生存率は上昇傾向にあるようです。
大腸がんの治療には外科治療をはじめ、内視鏡を使った治療や抗がん剤治療、放射線治療があります。そのうち、ステージ1の一部やステージ2~3の進行した大腸がんの治療は、手術による腫瘍を含んだ腸管の切除と周辺のリンパ節切除が原則です。
しかし、昔の大腸(直腸)がんの外科治療は人工肛門の造設が必要であったことと、局所再発が多くて治癒率が低かったことが問題となっていて、1970年~1989年の前方切除手術は、6%しか症例がありませんでした。
現在は、肛門温存を図ってきたことや、手術で切除した部位をつなぐ吻合器の使用により、前方切除手術の症例数は50%を超えています。さらに最近では、肛門から5cm以内にがんがあった場合、肛門を温存する内括約筋切除術という術式を試みる動きもあるようです。
この手術の傾向から、直腸がんの5年生存率の推移を見てみると、1970年~1979年には70%しかなかったステージ2の生存率が、2000~2009年には96%まで上昇。ステージ3aも、50%が87%にまで上がっています。 以上を踏まえると、がんの手術により確実に生存率がむしろ上がっているといえるでしょう。
外科治療や放射線治療が狭い範囲に有効な治療なのに対して、抗がん剤治療はより広い範囲に治療効果を期待できます。 そのため、転移の可能性があるときや血液・リンパのがんがあるときなどに有効です。それだけでなく、がんの成長を遅らせたり、症状を和らげたりすることもできます。他の治療と組み合わせられるのもメリットです。また、数種類の抗がん剤を併用することで、効果を高めることもできます。
抗がん剤治療を行うと、副作用が出ることがほとんどです。副作用として見られる症状は、吐き気やおう吐、下痢、脱毛などさまざま。白血球の減少やしびれ、貧血といった症状も見られます。がん細胞だけでなく正常な細胞も、抗がん剤の影響を受けて作用するためです。これらの副作用のうち、頻繁にあらわれる副作用は吐き気、脱毛、白血球減少の3つ。ただし、個人差もあります。
近年の大腸がんの死亡率・罹患率は男女ともに横ばいで、増加や減少傾向はありません。ただし1970年代あたりと比べると、手術の症例数が増えるのにつれて、5年生存率は顕著に上昇しています。政府もがん対策推進基本計画を策定して、がんの死亡率を減少させる対策を実施中です。 メリットだけでなくデメリットである副作用の多い抗がん剤治療ですが、再発の予防や治療に有効とされています。 はじめの診断でステージ2の大腸がんが発見された場合は、外科治療を受けることで再発を防げるかもしれません。その際は、医師とよく相談した上で、治療方針を決めてください。