
かつては、その独特の風味ゆえに、バラエティー番組の罰ゲームとしても利用されたことのある青汁。当時の印象を持つ方の中には、今も青汁は「まずい飲み物」と思い込んでいる方もいらっしゃるでしょう。青汁の独特の風味は、ケールから出るもの。最近の青汁には、ケール以外を主原料とする商品も多く販売されているので、かつてよりはだいぶ飲みやすくなりました。しかしながら、がん予防・抑制効果が期待されているのは、やはりケールのようです。
青汁とは、緑葉野菜を主原料とした健康飲料の総称。1982年、長谷川製菓株式会社(現・キューサイ)が発売を開始し、以後、テレビCMやバラエティー番組などを通じて、健康飲料として徐々に知名度が上がっていきました。
発売当初の青汁の主原料は、ケール。独特の風味を持つ野菜であることから「青汁は体に良いが、まずい」という評判が定着。その後、様々な健康食品会社から、より飲みやすい味の工夫がなされた青汁が多数発売されるようになりました。 青汁には、主にドリンクタイプのものと粉末タイプ(お湯などで割って飲む)の2種類があります。
青汁の主原料は、かつてはケールでしたが、現在では各メーカーによって様々な主原料が使われています。代表的な原料と、それぞれに含まれる成分について確認してみましょう。
アブラナ科に属する植物。がん予防などに良いとされるβカロテンや、目に良いとされるルテインの他にも、メラトニン、ビタミンE、カルシウム、食物繊維などが豊富に含まれています。
イネ科に属する植物。大麦の若い葉のこと。動脈硬化等に良いとされるSOD酵素を豊富に含み、他にもカルシウムや亜鉛、鉄分、カリウム、マグネシウム、ビタミンB1、ビタミンC、βカロテン、アミノ酸、食物繊維など、様々な成分を含んでいます。
セリ科の植物。日本産の明日葉は栄養価が高いことで知られます。βカロテン、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなどを多く含有します。
イネ科の植物。抗菌作用や免疫力向上作用などがあるとされ、古くから薬草として用いられています。ビタミンK、ビタミンB2、ビタミンB1などを含みます。
他にも、よもぎや長命草、クロレラ、桑の葉などを主原料としている青汁もあります。
上記で紹介した青汁の原料のうち、がん予防・抑制に効果があると期待されているのは、ケールです。 ケールにはnk細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させる働きがあるとされています。nk細胞とは、がん細胞などの外敵を溶解させる能力を持つ細胞。活性化されればされるほど、がんの予防・抑制効果があることになります。
青汁とnk細胞との関係については、実際に人を使った臨床試験が行われたことがあります。試験によると、飲用後4週間目までは、被験者のnk細胞に何ら変化はなし。しかしながら4週間を過ぎた頃から、nk細胞の活性化を示唆する変化が確認されました。
青汁、特にケールを原料とする青汁を抵抗なく飲める方は、毎日のお茶変わりとして飲んでいきましょう。しかしながら、ケール独特の風味に抵抗のある方は、何らかの別の方法を考えなければなりません。 おすすめの方法は、粉末状の青汁を利用することです。粉末であれば、様々な形に姿を変えることができます。よく用いられる方法は、バナナシェイクに混ぜるという方法。バナナの味のほうが強く出るので、ケールの風味がかなり消されます。また、飲料にこだわらず、たとえばお菓子の材料に入れたり、ホットケーキの生地に混ぜたりしても大丈夫。自分なり飲みやすい形に工夫してみましょう。
[※1] キューサイ株式会社『山口県立大学とキューサイが研究 ケール原料の青汁による免疫力向上について「日本栄養・食糧学会大会」で発表 』(2001年5月8日)