
世の中には「高麗人参」を謳った商品が数多くあります。よく目にはするのですが、高麗人参がどんなものなのか、「なんとなく体に良さそう」ということ以外、まったく知らない方も多いことでしょう。高麗人参は、古来、中国や朝鮮半島、日本に伝わる漢方素材の一種。滋養強壮などで高い薬効を持つとして、古くから貴重な生薬として利用されてきました。そして近年、高麗人参にはnk細胞を活性化させる薬効があるとの研究報告も。がん抑制効果が期待できるのでしょうか?
高麗人参とは、ウコギ科の多年草。日本での正式名称は、オタネニンジンと言います。原産地は、中国遼東地域から朝鮮半島にかけて。流通している高麗人参はほとんどが栽培種ですが、現在でも広く高麗人参は自生しています(採取は困難とされています)。 高麗人参は、中国、朝鮮半島、日本において、古くから利用されている薬草の一つ。八代将軍・徳川吉宗は朝鮮半島から高麗人参の種・苗を入手させて、全国各地の大名に栽培を促したとされています。
なお、日本における高麗人参の栽培地としては、島根県松江市大根島、長野県東信地方、福島県会津地方などが知られています。
高麗人参の主要成分と、それぞれに期待される効果・効能を見てみましょう。
高麗人参の代表的な成分と言えば、サポニン。肥満予防効果、悪玉コレステロールを減少させる効果、免疫力向上効果、血流改善効果、アンチエイジング効果などがあると言われています。
本来は強い毒性を持つアルカロイド。しかしながら、高麗人参に含まれる程度の微量のアルカロイドであれば、逆に抗酸化作用や免疫力向上作用など、健康に良い影響をもたらすと言われています。
人体に必要とされる20種類のアミノ酸のうち、高麗人参にはアルギニン、チロシン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、プロリンが含まれています。特にアルギニンには免疫細胞を活性化させる作用があると言われています。
食品のnk細胞に有効な成分が、どう影響を与えるのかについて(300前後) 上記で説明した高麗人参の主要成分のうち、がん予防・抑制に効果的と言われている成分がサポニンです。
サポニンには、実に様々な効果・効能があるとされていますが、それらの内の一つに「副交感神経を優位にさせる」という作用があります。 副交感神経とは自律神経の一つ。相対する交感神経と、互いに競り合っているような神経系です。副交感神経が優位になると人はリラックスし、交感神経が優位になると人は緊張します。 サポニンの作用で交感神経が優位になると、がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラー細胞 = nk細胞」が活性化。このnk細胞の働きが、がん細胞の発生や増殖の抑制効果をもたらすと期待されています。
高麗人参には独特の風味があるため、「味を楽しんで日常的に食べる」ことは難しいでしょう。金額的にも安いものではないので、食べ続けること自体が困難になる可能性もあります。 一般に高麗人参は、漢方における生薬として処方されます。必要ある場合には、漢方薬局に相談すると良いでしょう。
なお韓国では、高麗人参を煎じてお茶としたり、またサムゲタンの材料としたりする例が見られます。日本においても、天ぷらの材料として用いられることがあります。いずれについても、少なくとも一般的ではありません。 日常的にサポニンを摂取したい場合、風味や価格に鑑みてサプリメントで摂取することが現実的でしょう。